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映画日記その297 「チョコレートな人々」


愛知県豊橋市の街角に本店をかまえるチョコレート専門店「久遠チョコレート」。全国40店舗、52拠点、年商16億、そして従業員約570人のうち、約6割が障害者さん。代表の夏目浩次さんは、創業当時から障害者雇用と適正な賃金の支払いにこだわり、愛知県の最低賃金である時給955円を超えています。そんな夏目さんと障害者さんのチョコレート作りを通しての悪戦苦闘ぶりを描いたドキュメンタリー映画です。

代表の夏目さん、スゴい人です!何がスゴいって、チョコレート店が成功したあとに、社会貢献として障害者さんの雇用、そして適正な賃金の支給を始めたのではありません。夏目さんは久遠チョコレートの前身のパン屋を開業した20年前から、障害者さんの雇用と適正賃金の支給をしてたのです。

なんとその20年前の映像が残っていて紹介されてるのですが、若き日の夏目さんと奥様、そして3人の障害者さんだけの小さなパン屋さん。かなり経営が苦しくて、それでも障害者さんにはちゃんと適正賃金を払い、自分たちの給与はゼロ。

普通はそんな状況ならば、障害者さん雇用をやめるか、賃金を障害者さんの水準にしますよ。世のほとんどの経営者さんが夏目さんと同じ状況になったらそうするでしょう。ところが夏目さんはずっと障害者さん雇用にこだわり続けます。

そのうちに夏目さんは、失敗しても温めれば作り直せるチョコレートに目をつけ、ロスの多いパン屋からチョコレート屋に業態を変えたことが転機となったようです。また障害者さんに対する接し方の変化も大きいように思いました。

パン屋時代の夏目さんは障害者さんに対して、「がんばれば障害は乗り越えられる」という思いで接してました。ところがそんな接し方が災いし、一人の障害者さんの心を傷つけてしまい失敗してしまいます。そしてその障害者さんは退社し、お店を去ってしまいました。

しかしそんな紆余曲折を経てからの現在の夏目さんは、障害者さんに寄り添うように接するようになります。障害者さん一人ひとりに合わせて、チョコレート作りの環境を個別に変えたり、工程を変えたり、様々な工夫をこらします。パン屋時代の失敗が活きてるんだと思いました。

そんな夏目さんが新店舗オープンで店頭に立ってた時に、先ほどふれたパン屋時代に傷ついて退社した障害者さんがお店に来店。夏目さんと約20年ぶりに対面します。夏目さんと障害者さんが涙ぐむ姿を見てたら、ボクもつられて涙がポロリ……そしてほっこり❤️

迷ったり、もがいたり、日々悪戦苦闘するそんな夏目さんと障害者さんのリアルを映し出した、とても素晴らしいドキュメンタリー映画でした。

うん、良かった!
ご興味ある方は、ぜひ劇場にてご鑑賞を。

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