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どうする?負動産の実家29 使用契約

2019年4月。築100年超の実家を借りたいYさんと直接、「使用契約」を結ぶ
賃貸契約ではありません。無料で不動産を使っていいですよという使用契約です。田舎に住んで、DIYや畑仕事をしてみたいYさんに、好きに使ってください、造作を変えても全然大丈夫ですよ!というOfferをし、了解をいただいて使用契約を交わしました。

賃貸契約ではなく、使用契約に至った経緯は、下記。
https://note.com/hoho1064/n/n365dd55ff9e6

わたしたちの条件は、
・父が亡くなった後、わたしたちは、3か月以内に売却か相続放棄をすることになるので、契約解除になること。
・Yさんが出て行かれる時に、万一残置物があれば、その撤去費用に当てたいので、一定の保証金を預かること。(特に残置物がなければ、全額返金)
・借家人賠償保険に入っていただくこと。

主にこの3点でした。

シロアリ駆除のあと、Yさんと直接お会いし、再度、不具合を確認していただきました。お会いしたYさんは、想像していた通り、誠実でまじめな方でした。

わたしはYさんに、「空いている家を、親せきの叔父さんに貸すようなつもりでいます。Yさんも、住んでみて合わなかったらやめておく、ぐらいのつもりで使ってください。別宅としてでも構いません。その都度、許可は要らないので、使いやすいように改装してください」と言いました。将来の売却に際しては、Yさんの希望があれば、最優先することはもちろんでした。

使用貸借契約書は、WEBにいろんなフォーマットありますね。わたしは、それを使って、Yさんとも相談しながら、最終的に自分たちに合った契約書を作っていきました。なので、わたしたちの契約は一般的ではないと思いますが、ご参考まで。

自力で作った土地・建物使用貸借契約書(部分)

この契約書に、どれだけの法的根拠があるのか?はナゾ。けれど契約書がなくても良かったのでは?とは思いません。お互いが望むことを明文化しておくことで、できるだけ不確定要素を減らせたと思います。

「ただでも誰かが使ってくれたらなぁ」という姉妹の願いは、現実になりました。もちろん、一般的な話ではありません。限界集落で、築100年超の実家が空き家になり、片道5時間半の遠方に住んでいる娘たちが考えうる限り最善の状況でした。

いつも雨戸を締切って、人の気配がなかった実家は、Yさんが住み始めたあと、玄関に鉢花が飾られ、息を吹を吹き返しました。近隣の方や叔母が「家の雨戸が開いててなぁー、中もきれいにしてはるみたいやわ!いい人に借りてもらえて、ほんまに良かったなぁ」と弾んだ声で電話をかけてきてくれました。

ようやくです。実家が空き家になって2年半が経っていました。

父はまだ施設で健在でした。快適な温度に保たれた部屋で、父の血圧は落ち着き、心身の機能低下もあまり進みませんでした。暖かい時期には「オレ、もう家に帰れるよー!」と思い出したように言う父に、実家を人に貸したと話すことはできませんでした。ごめんね。

寒い時期には「ここで居ったら大丈夫や、オレは、まだまだ長生きできるよ!」と言っていたので、父にとっても冬の厳しい寒さは忘れ難かったのでしょう。何よりもわたしたち姉妹が、心の底からほっとしていました。

2019年、2020年、わたしは父の施設への往復だけで精一杯。実家の方まで足をのばすことはありませんでした。
実家じまいの続きの記事は下記でより。


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