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歌舞伎観てきました!5『京鹿子娘道成寺』

2024年1月歌舞伎座観劇。夜の部。(※別のSNSから移動分)

初春興行なので、なにかと賑々しく明るい演目が多いです。わたしが観たのは尾上右近さんの白拍子花子。(中村壱太郎バージョンもありました)

期待を完全に上回るすばらしさでした。右近さん、こんなに上手く踊れるんだ!という驚きと(不勉強ですみません)、上手いというより身の内から発光して、指先まで揺るがずに光が届くような踊り、というか、とにかく圧倒的でした。

さすが歌舞伎座。三味線や唄、鳴り物などすべてのレベルが高くて壮大で、それらとぴったり合って、それらを自在に操る右近さん。広い舞台にたった一人、白拍子から娘の手踊り、毛毬、花笠、手ぬぐい、鈴太鼓などなど、次から次へと道具や衣装を変えて踊りきる。

力強く繊細で、右近さんの両性具有とでもいいたい持ち味が、これでもかと活きていました。アスリートのように力強い体幹と、幻を見せてくれる指先が同居している感じ、あぁ、もっとうまく説明できたらいいのになぁ。

この演目は、女形の、というか舞踊の代表作なので、観たい観たいと思っていました。昔は年に何回もどこかでかかっているような演目だったのに、近年あまりかかっていないようです。

前回は、平成元年の菊之助さんの花子、その前は、十八代勘三郎さんの花子までさかのぼります。菊之助さんの花子は、これからも観られるだろうなぁと思うのですが、勘三郎さんや玉三郎さんのものはもう観られない。

それでも今日、まだお若い右近さんが、若いからこそ出し切れた舞台を拝見して、わたしも心が躍ったのです。これからも、たくさん楽しみがある。消えていくものがあれば生まれるものがあるんだなぁと、しみじみと幸せな夜を噛みしめました。

ほかの演目も素敵だったのに、すべて花子にもっていかれました。

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