歌舞伎観てきました!8『松浦の太鼓』
2023年11月歌舞伎座にて観劇。
仁左衛門さん主演『松浦の太鼓』。(※別のSNSから移動しました)
仁左衛門さんも名古屋公演でご不在だったりして、私も9,10月と観劇がなかったので久しぶりの歌舞伎座。
吉良邸の隣に住むお殿様、松浦鎮信が主人公。忠臣蔵の外伝のような作品です。いつもは重苦しい忠臣蔵の中で、これは明るめのお芝居ですが、その明るさは、松浦のお殿様が、山鹿流の陣太鼓(討ち入りの合図)を聞いて、馬に乗りこみ、我先に仇討の助太刀をしようとはやる姿に現れます。「赤穂浪士たちよ、やっと仇討できるのか」と喜んでいるのです。
それは時代の空気で、武士たるもの、主君の『仇討』をして自分たちも自刃するべし、ということが尊かった時代なのです。これを現代の感覚で、理解するのは難しいし、受け入れがたい。その受け入れがたさを超えるのは、役者の演技だけなのだなぁと思う。俳句の師匠の其角役の歌六さん、赤穂浪士役の松緑さん、その妹役の米吉さん、これはもう今ベストの配役なのかも。
仁左衛門さんの松浦候は、滑舌が滑らかで3階席まで声がよく届きます。喜怒哀楽もきめ細やかで、表情を追っているだけでおもしろい。だが、ちょっと美しくて愛くるし過ぎるかもしれません。(美しくて愛くるしすぎる78歳っているんですよ)
吉右衛門さんや白鸚さんが演じた時に、ちらっと見えた、痛ましい厳しさのようなものを懐かしく思い出しました。