場面緘黙症ブログ「12歳の私が伝えたかったこと⑨」 〜わたしとスイーツ〜
4歳の時、幼稚園入園をきっかけに「場面緘黙症・緘動 ※」を発症した娘。
その後不登校やパニックなどを経験し、ようやく自分を振り返ることができた12歳の頃に綴ったブログです。
(※場面緘黙症:家庭では話すことができるのに、社会不安のためにある特定の場面、状況では話すことができなくなる疾患。強い不安により体が思うように動かせなくなる「緘動(かんどう)」という症状が出る場合もある。)
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私はスイーツ作りが大好きです。
私は小さい頃からお母さんと離れるのが不安だったので、お母さんのそばにずっといたかったです。
だから、お母さんが料理している間もいつもそばで見ていました。
お料理やお菓子作りにも興味があって、小さい頃からお母さんと一緒にお顔のクッキーやカップケーキなどをよく作っていました。
お母さんと一緒にうちで、お菓子やお料理を作るのはとても楽しくて、安心できるので大好きな時間でした。
クリスマスや誕生日には、市販のスポンジケーキやホイップ済みの生クリームでデコレーションケーキを作っていました。
私が初めて、ケーキをデザインも全て自分で考えて作ったのは小学5年生のクリスマスケーキでした。
初めてだったので、まだ、生クリームの固さもわからずゆるゆるで、見た目はあまりきれいではありませんでした。
でも、お菓子を作ることが楽しくて、ケーキだけじゃなく雪だるま型のミニケーキや、ステンドグラスクッキーにも挑戦しました。
その頃私は、手作りでも売り物のように作れる気がしていました。
でも、実際に作ってみたら、とても大変で時間もかかるし、焼き加減や固さも分からず、見た目もイマイチだし、みんなの前に出すのがちょっと恥ずかしかったです。
でも、テーブルに並べてみたら、みんなたくさんほめてくれて、おいしそうに食べてくれました。
私は小さい頃から絵を描くことが好きでした。
みんなは私の絵を見て、「すごい!」「じょうず!」とほめてくれました。
だけど、私が目にする素敵だなと思うプロの絵は、どれもとてもすごくて、私の絵は比べものにならないへたくそだと思いました。
だから、上手だと、いくらほめてもらっても、みんな私のために、そう言ってくれているだけだと感じていました。
お母さんが壁に貼ってくれる私の絵を、家に誰か来るときには恥ずかしくてはずしていました。
でも、お菓子はほめてくれるだけじゃなくて、みんなが笑顔になってくれます。
それがうれしくて、私にとっては、絵を描くことよりもお菓子作りの方が楽しくなりました。
それからの私は、お菓子作りが大好きになり、毎日のようにお菓子を作るようになりました。
レシピを調べたり、きれいなお菓子の写真を見たり、デザインを考えたりする時間も大好きです。
私のお菓子を食べてくれた人が笑顔になってくれるのを想像したりしてワクワクしてきます。
今では、たくさんの人に私のお菓子を届けて食べてもらっています。