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[場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)・緘動(かんどう)・発達障害・不安障害・不登校などの生きづらさ]への理解 第10話 「スモールステップ」


(ご理解、ご賛同いただけたら、周りの方に伝えたり、この投稿をシェアしていただけるとうれしいです。)

長女は4歳の時、幼稚園入園をきっかけに場面緘黙症・緘動(※)を発症しました。

※:家庭などでは話すことができるのに、社会不安のために、ある特定の場面、状況では話すことができなくなる疾患。強い不安により体が思うように動かせなくなる「緘動(かんどう)」という症状が出る場合もある。

症状のでかたや困難さはそれぞれかと思いますが、娘の場合を伝えていきます。

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長女は4歳の時、幼稚園入園をきっかけに場面緘黙症・緘動(※)を発症しました。
※:家庭などでは話すことができるのに、社会不安のために、ある特定の場面、状況では話すことができなくなる疾患。

強い不安により体が思うように動かせなくなる「緘動(かんどう)」という症状が出る場合もある。症状のでかたや困難さはそれぞれかと思いますが、娘の場合を伝えていきます。

また、発達障害や不安障害また不登校への理解にも繋がればと願います。

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「スモールステップ」

読んで字の如く、最初から大きな目標(ゴール)に向かって行動するのではなく、小さな段階に分け、ひとつひとつ成功体験を積みながら進むこと。

私がこの言葉に出会ったのは、長女が初めて場面緘黙症・緘動と診断されたとき。
今から約10年前のことです。

その時の私にとって、スモールステップという言葉はまるで魔法の言葉のようでした。
100%を頑張ろうとしていた私たち親子にとり、ハードルを大きく下げた目標設定。
徐々に大きな目標へ向かうシナリオ。
その時の私の目標は、娘がスムーズに幼稚園に通えるようになり、その先にある小学校入学を安心して迎えることでした。

ただ、その魔法のような方法にも、当然ながら当事者本人の状態や思いを大事にすることがとても重要だということを知る経験になりました。

「本人がその目標に向かいたいと感じられている状態か」

「次へのステップに進めるだけの、エネルギーがその都度備わっているか」

当事者がまだ幼かったとしても、目標設定や次のステップへの準備や移行を大人の考えだけで進めようとすることには用心が必要だと感じます。

娘は動けない幼稚園で、完全介護状態と言われるサポートを受け生活しました。
小学生になり、意を決し、がんばり、やっと少しずつ自由な声と動きを手に入れ始めたのも束の間、入学から二ヶ月後にはまた動けなくなりました。
二学期からの付きっきりの同伴登校の日々の中、少しずつ、娘は再び動けるようになり、笑顔も戻り初めました。

そこで、先生から次のステップへの提案があったのです。
私が娘から少し距離をおき、それまで私が促していた動きへのアプローチをクラスメイトに変わってもらうというもの。

当時の私は、娘のために努力してくれる先生やお友達へ申し訳ない気持ちがあり、娘の思いに気づいていても、提案に対し「はい」と答えることを優先してしまいました。

その時の娘は、介助してほしいのは友達ではなく母親であったし、まだ、今できていることさえも無理をしてがんばってやれていることであって、次のステップへ進む力も準備も整ってはいなかったのです。

案の定、そのステップを試したとたん、娘の言葉も体の動きも再び奪われました。
そして、また次を期待されることへの怖さから、教室に入ることができなくなり、カーテンを引いた保健室で隠れるように過ごしました。
時折やって来る先生に不安が大きくなり、状態はますます悪くなりました。
学校までの道のりは日に日に遠ざかり、一年生の三学期には家から出ることができなくなりました。
その頃から娘のパニックが頻度を増すようになり、生徒のいる学校に行けなくなりました。

それから、学校復帰を目指した数年間、同じような状況は繰り返されました。

思えば、学校復帰という目標そのものが娘が本当には望んでいないゴールであったし、すでに身体症状の表れている状態の娘にとって、たとえ小さくても前へ進むステップを用意されることが苦痛や恐怖でさえであったのだと思います。

学校復帰だけでなく、そのほかの場面でも同様のことが言えました。

感覚的には娘の状態を理解しているつもりでも、私は進歩することにむやみにとらわれていたのかもしれません。

言葉は、時に凶器にもなりますが、そのたった一言でそれまでの自分を救い、これからの自分の糧になることがあります。

現状維持は進歩です。

私にかけられた宝物のような言葉の中でも特に私の心に響き、事あるごとに思い返す言葉です。

誰の目にもわかるような前進ばかりではなく、現状維持でも本人にとって進歩なのだと捉えることができれば、もっと大らかに、もっと安心感を持って生きられると感じます。

現状維持は進歩です。

そう思えば、どんなにゆっくりでも少しずつでも、前に進んでいたら、それは大きな大きな前進です。
少しくらいの後戻りはクールダウンです。

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例は、娘のケースです。
すべての場面緘黙症・緘動の症状にあてはまるわけではありませんが、知ってもらうことはとても大切だと改めて感じています。

(注)私たち家族は長女が診断されて以来、下の二人の娘も含め、療育、相談、医療の機関に定期的にカウンセリングに出向き、登校できなくても、在籍する学校の先生と連携を取っていただいています。

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hohimaro ほひまろ|おうち育ち実践中
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