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家庭でもできる音楽あそび 〜音楽は使い方しだい!〜

★音楽療法とは?

   皆さんは音楽療法について知っていますか?
まだ世の中には根づいていないようですが、音楽活動を通じて子どもの成長をうながすなど、音楽以外のことを目標としたユニークな療法です。


今回は、家の中にいる時間が長いこの時期に適した楽しい活動をご紹介します。


   まず、他の療法とは異なる音楽療法の特徴について簡単にご説明しましょう。音楽には、

①その楽しさが療法の目標達成を促すこと、

②演奏を通して集中力の維持向上を促すこと、

③楽器演奏により運動能力の向上を促すこと、

④リズムは行動に統制をもたらすこと、

など様々な療法的特徴がもともと備わっているのです。ただ、それらを療法として活かすには、最初に明確な目標を設定する必要があります。


ここではそのような、ご家庭でもできる楽しい音楽あそびをご紹介しましょう。


★家庭でもできる音楽あそび

1、「お鍋でまねっこ」

目標:聴くことと見ることの多重短期記憶力を向上させること。上記の④は、聴いたリズムを繰り返すことで短期記憶力の訓練にもなります。

これは例えば、人が言った通りに行動したり、電話番号を覚えておいて電話をかけたりする時に必要な聴覚的短期記憶力です。

   ただ、非定型発達の子どもたちの中には、例えば色の識別はなかなか上手にならないけれど、聴いた歌はすぐに覚えてしまうという子どももいます。

この場合は、視覚よりも聴覚的記憶力に優れていることになります。

つまり短期記憶力には聴覚と視覚の2種類があるというわけです。さらに非定型発達児にはそのアンバランスが見られやすいようです。


   ちなみに、視覚的記憶力は字の形を覚えたり、物を置いた場所を覚えたりする時にも必要ですから、忘れ物が多い子どもには関係あるかもしれません。

つまり、能率的に学習するには、この2種類がバランス良く働く必要があるというわけです。

   そこで紹介するのは、この両感覚を同時に訓練する遊びです。今回はこれを台所用品を使ってやってみたいと思います。叩くと異なる色々な音に耳を傾けてみましょう。


用意するもの:丈夫なお鍋とフライパン、めん棒、フライ返し、泡立て器など。


手順:

①大人と子どもは向かい合い、大人はフライパンとめん棒を、子どもはめん棒を持ちます。

②大人は、1、2、3、4の拍に合わせて、タン、タン、タン、タンのように、1拍目から3拍目までは同じリズム、4拍目はお休みにして自分でフライパンの底を叩きます。

③子どもは次の4拍で、差し出されたフライパンを、大人のリズムと同じように叩きます。

④③が上手にできたら、次は少しリズムを変えて叩き、子どもはそれを真似ます。

⑤このようにして少しずつリズムを複雑にしていきます。

※フライパンを使うのは、取っ手を持った大人が差し出した時だけ叩くようにするためです。自分の番まで待てるようになったら、お鍋を床に置いても良いでしょう。


応用:お鍋2つをさかさまにして床に置きます。真似て叩くのは同じですが、どのお鍋をどの順番で叩いたかを注意深く見ておく必要があります。

そしてその通りに真似ることで、聴くことと見ることの両方を同時に鍛えます。
   この時、リズムは正しいけれど、叩くお鍋が間違っている場合は聴覚優位、一方でお鍋は正しいけれどリズムは間違っている場合は視覚優位だとも考えられます。


聴覚優位な子どもに言葉の指示は伝わりやすいかもしれませんが、視覚優位な子どもには、言葉は短く、写真などを併用すると伝わりやすいでしょう。

2、「幸せなら鈴鳴らそう」

目標:手首や足首につけた鈴を指示に従って鳴らすことで、言葉を通したボディイメージを高めま


ボディイメージは自ら体を動かすことで養われます。この点、楽器は聴覚フィードバック(行った動作を音を通して振り返ること)を動機づけとして動作の遂行を促しますので、ボディイメージの向上に役立ちます。


   またボディイメージは、例えば物にぶつからないよう体をよける時などに必要ですが、一方で、例えば「頭を下げて!」のように、注意を喚起する場合は言葉を通さないと伝わりません。

つまり言葉を通してボディイメージを高める訓練が必要なのです。ここでは、そのような言葉を通した遊びをご紹介します。



用意するもの:鈴4〜12個、細いゴムひも10cm程度を4本。

鈴にゴムひもを通し、輪になるようにゴムひもの先端を縛ります。


手順:

①子どもは両手首に鈴をつけます。大人は「幸せなら手を叩こう」の歌を「幸せなら右手を振ろう」などと言葉を替えて歌い、子どもはその通りに行います。


②左右の識別ができたら、次は両手首にも鈴をつけ、それぞれ同様に行います。

③②が上手にできたら、次は「幸せなら右手と左足)など複数の箇所を同時に動かす指示を出し、同様に行います。


観察点:自分でゴムひもを上手につけられるか、また皮膚に触れる感触や大きな音を嫌がっていないかなど観察しましょう。

触覚過敏や聴覚過敏が考えられる場合は、別の素材に変えてみましょう。

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