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タマネギをさげながら
旧東粟倉村の何度か泊めていただいたことのある知人の家で、80歳になるおばあちゃんと過ごした1時間の記録です。野良仕事をしながら、昔の話を聞かせて欲しいとお願いして実現しました。
収穫したタマネギを軒先に干すためのワラで結ぶ作業。始めての体験に戸惑いながらも丁寧に教えていただきながら完成したのがTOP写真です。軒下に吊り下げる作業は脚立に登るので手伝えてよかった。
*方言も聞いたそのままにしてあります。
「ワラでな、タマネギを」
「よく、くくって吊ってあるのみたことある」
「そうじゃろ?こまいで4つ、5つ結ぶじゃろうかな。」
「タマネギのこの緑の所ってわりにしっかりしてますよね」
「うん。まだ枯れてないけ。上の株をこうやってな、上からぐるっとまわってきて。ぐるっとまわろう?ぐるっとまわってこうやってきて、これが上になって、今度は下からここへ、はさける」
「ぜんぜんわからん」
「わからん?」
「これがひっぱれるんじゃ」
「全然わからん」
分からなさすぎて笑けてくる。
「これをな。もっとなごーせにゃあいけん。なごーして、ぐるっとまわって、ここれに下からちょっと二つに折って、こっちにはさける」
「4つでええわ。しにくいで。こうしよう?ふたつにおったら、二つにおって、ここへはさける。はさけて、わさが見えたらこっちをしゅっとひっぱったらなんぼでも、かとうなる」
「なるほど」
「こうして。せえで、このながいのを半分通してな、置いとったら、『トタンっ』と落ちんのよ。枯れるごとにこれがしまっていくんよ」
「真ん中をくるっとしてな。これとこれを結び合わせて、びゃっとさげる」
「分かった。今、分かった気がするけどやり始めたらどうじゃろう」
「ぼちぼち、あわていでもええけ。こまいのは5つでもええけどな。これをそろえておいてな、長めにだしてくるっとまわす。こうきてくるっとまわってきて、下を通して・・・二つに折ってくるっとはさける」
「こう?」
「上へせにゃあいけん」
「あ、こうか。こうきて・・・」
「下からはさける。折ったやつを下から・・・はさけて、、ひっぱる。そうそうそう。ここ根元をもってな」
「いけたんかな!これ!」
「それをぐるっとまわす。これを」
「できたけど、どうやらこころもとないなこれは。まあだんだん上手になるか」
「すんだじぶんにじょうずになる」
「そうそう。来年がきたら忘れる」
「あれちがうな。むこうから、、、」
「しにくいんじゃな。むこうへ回す方がええかもわからん。こうやってな。こっちをもっといて自分がむこうへ」
「こういって、、」
「あ、ちょっとまってよ。私がするから。ここへこうもってるじゃろ、右手でもっとろ?」
「右手で、はい」
「ちがう。このこっち。それで、こうまいて、こうきて、こうまいて」
「うん。ぐるっとまいて。これが上になろう?これほっといて、これをねじったごとして、二つにおって、ここへはさけて、どっちからでも楽な方でひっぱってしたら、できるはずじゃ」
「あ、ぬけよる。抜けよる入ってない」
「はいってねぇ。わらに。あははは」
「3つになった」
「3つでもええ」
「まだこれをさげにゃあいけん」
「この上へ?」
「そう。こことあっちと」
「しええほうにしたらええで?ぐるっとまわってくるのに、株をむこうにしてもええし」
「分かった。今のやりよかったきがする。こうして、、」
「ちょっとねじ回してな。ふたつもって、はさけたらええ」
「ほっ。できた!!」
「上手になった。倍くらい時間かかりよるけど」
「倍掛かっても2倍かかっても、楽じゃで。」
「ちがう」
「こう」
「そうそうそう」
「見てたら間違ってるの分かります?」
「口がゆがむようなわ。みよったら。おもしれえなあ」
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