補聴器と湿度の関係2
一般的にカビ・サビの発生する湿度は、60%以上だと活発に発生し、80%以上で危険ゾーンに突入するようです。日本は基本的に多湿の国。4月から10月はこの範囲に当てはまるそうなので日ごろから意識しておきたいところです。
逆に湿度30%以下だと乾燥によるコーティング、ゴムの劣化、変色、場合によってはゴムのひび割れ、など機材を痛めてしまいます。乾燥しすぎにも注意が必要です。
・補聴器の適正湿度は40%前後~50%だと
言われています。
・サビ・腐食は、20~30度で活発になり、
・特に25度以上だと大量発生につながります。
補聴器用乾燥用具を理解しよう
補聴器用乾燥機(ケース)
各メーカーから補聴器用乾燥器具がでております。
ご存知の方が多いと思いますのでおらさい程度に
ご紹介致します。
①シリカゲル系乾燥剤
②土系乾燥剤
③粉系乾燥剤
④風+乾燥剤系乾燥機
⑤熱気流系乾燥機(乾燥剤不要)
(番外編1)真空乾燥機
(番外編2)乾燥剤+熱気流
乾燥剤の種類
シリカゲル
無色透明または吸水レベルがわかるように色づけされた小さなビーズ状の製品です。単なる玉ではなく、多孔質の構造をしており、見掛けより表面積が大きく、これらの微細な孔によって物理的に湿気を吸着していきます。
一定レベルの水を吸うと色が変わるタイプのものも市販されています。これは青い塩化コバルトで着色したものです。一定以上水を吸着するとピンクに色が変わるものです。
包装用シリカゲル乾燥剤として規定されているJIS規格ではA形とB形の二種があり、それぞれ以下のような違いがあります。
A:低湿度において湿気を吸着する力が強いもの
医薬品、健康食品、食品(菓子)
B:高湿度において多量の湿気を吸い、吸着容量が大きいもの
靴の乾燥、押し入れ・タンスの除湿。
シリカアルミナゲル系
主成分は粘土質鉱物を用いた安全な乾燥剤で、シリカゲルに比べると低価格であり、複数の種類がありますが、その大きな特徴としては、次のようになります。最大のメリットは使い捨てではありますが、低湿度環境での高い吸湿性能と廉価であるという点が挙げられます。
吸水しても発熱はない
潮解性もない
吸水すると粘土のように溶けてドロドロになるが周囲を溶解させることはない
高湿度環境では、シリカゲルほどの吸湿性能を持ちませんが、反面、低湿度環境ではこちらのほうが高い吸湿性能を持っています。
生石灰
石灰乾燥剤は生石灰(酸化カルシウム)で、強いアルカリ性物質です。 吸水速度は、高湿度環境において早い部類となります。ただし、低湿度環境ではゆっくりとした吸水速度になるため遅効性を求める場合にも有効です。吸湿力が強くコストが安いのが特徴で、低湿度環境で用いる場合、吸水容量も大きく長時間使えます。生石灰の重量比約30%程度湿度を吸着します。シリカゲルとは異なり、一度吸湿して消石灰になると、乾燥剤としての機能を復活させることはできません。 また、飲み込んでしまうと火傷をしたり、目に入ると失明するといったリスクがあることも知っておく必要があります。
モレキュラーシーブス
合成ゼオライトとは均一の孔と空洞を網目状にもち、別名分子篩(モレキュラーシーブス)とも呼ばれる無害の物質です。最も強力な吸着力を持ちますが、価格も高価なので、特に低湿度領域での水分吸着が必要な際に使用されます。乾燥剤と比較して低湿度でも大きな吸湿能力を持っています。吸湿速度も非常に早くなります。
乾燥剤の中ではモレキュラーシーブスは、
吸着量が高く短時間で乾燥可能、かつ一定の湿度を保つので乾燥しすぎないメリットもあります。
個人的見解では間違いなくオススメです。
乾燥機の比較では熱気流系乾燥機は速乾性があります
…が、番外編1でご紹介した真空乾燥機は
店舗で使用している真空乾燥機の小型版です。
まさしく最強クラスの乾燥機です。
ただ、あくまでも速乾性の話です。
特に熱気流系乾燥機は、速乾性は高いのですが
乾燥が終了した後に気流の通気穴から湿気が侵入してしまいます。かつ、熱と外気の寒暖差で補聴器内部に結露が発生する可能性があります。
乾燥ケース・乾燥機保管場所
上記の理由につき、
寒暖差が少ない15℃以下で、遮光保管してください。
リビングにある引き出しの中など。
前回に記載しましたが、
クリーンルーム(温度が1年中一定)に
防湿庫の設置が理想的です。
ただ、ランニングコストが高額になります。
下記をオススメ致します。
①オートクリーンドライ全自動防湿庫導入
初期費用50000円前後、大きい、電気代
②リビングに防湿庫導入
初期費用10000円前後、大きい、電気代
③熱気流系乾燥機or真空乾燥機&乾燥ケース併用
初期費用12000円程度~、小型、電気代少し
乾燥剤は一定を保つモレキュラーシーブスが理想
※気流系乾燥機で乾かした後、乾燥ケースに入れる
保管場所はリビング等温度が通年変わらない場所
①乾燥すれば良いって話ではない
乾燥し過ぎは補聴器のハウジングやアンプに
深刻なダメージを与える。
乾燥ケースに入れっぱなしは危険。
②サビ・腐食の理解
サビ・腐食は20~30度、湿度60%で活発に。
③汚れもサビ・腐食の発生条件
汚れはサビ・腐食の触媒役。お手入れ大切。
④乾燥後、相対・絶対湿度を意識して保管
寒暖差は危険。乾燥後どうするかが大切。
⑤しっかりお手入れして補聴器の耐用年数5年
お手入れしないと2年程で壊れます。大切。
⑥補聴器の修理金額は高い
修理費用平均は15000円前後。
毎年壊れたら補聴器1台買えます。
ということで、ご参考になれば幸いです。