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【徒然20241006】障害者雇用、企業と障害者の歩み寄りかた

こんなポストをしました。

先日、ある発達障害当事者の方とお話をする機会がありました。

「小鳥遊さん、なんで障害者雇用って、こう言ってはなんですが、誰でもできるような単純作業だけの給料が低い仕事が多いんでしょうか?」

「障害者だからといって、単純作業しかできない人ばかりとは限らないじゃないですか」

「少なくとも自分はそういった仕事は求めていなくて、もっと色々な仕事ができる職に就きたいですし、給料もそれなりに欲しいです」

もちろん、様々な理由で、単純作業のみの「いわゆる障害者雇用」の求人によって助かる人もいると思います。ただ、私はこの方の考え方に非常に共感しました。一方で、「そうですよね......」としか返答できませんでした。

おそらく、上記のような「いわゆる障害者雇用」は、障害年金を受け取ること前提で低い給与額の設定がされていることが多いのでしょう。

しかし、この方や私含めて、障害の程度が軽いと障害年金はもらえません。そんな人たちが障害者がありながらも働くにはどうすればいいのでしょうか。

また、今障害年金をもらえていても、将来手帳の更新時に障害の等級が変わって、障害年金が受け取れなくなってしまったらどうするのでしょうか。

障害はありながらも十分仕事がやっていける人は、必ずいるはずです。そういう人が働いていくためには、どうすればいいかを非常に考えさせられた時間でした。

このポストをしてから「いや、障害者雇用の給料額は障害年金を受給すること前提で決められていない」というご指摘をいただきました。また、障害者雇用は1日の労働時間を短くしている場合があり、その分だけ安くなっている例も多いといったご指摘もいただきました。いずれもそのとおりです。ご指摘ありがとうございました。

ただ、そもそも「障害者の仕事だから、安くてもいい」みたいな雰囲気がありませんか?という印象が私にはあるのです。

障害者だから、複雑で難しい仕事はできない。
単純で簡単な仕事には低い報酬しか出せない。

何も考えずに、このようなロジックで求人を設定している会社が割とあるような気がします。

もちろん、そういった仕事があることで助かる障害者の方もいます。むしろ、そういった方々にも雇用の機会をつくり出すという意味では、とても意義あるものだと思います。

しかし、「適切に配慮を受けられれば、結果を出せる、出していきたいと考えている障害者だっています」という声を聞き逃してはならないと考えています。

私は、「発達障害はあるけど、難しい仕事も頑張って、ある程度十分な給料をもらって、それでほしいものを買ったり、美味しいものを食べたり、たまには旅行に行ったりして、人並みに幸せに生きていきたい」と思っていたのです。それが、「障害者」になるだけで、「障害者雇用」で働くという選択をするだけで、とてつもなく難しいものになってしまう。この現実が、とにかく私には我慢ならなかったのです。
もちろん、既存の障害者雇用がなくてはならない制度であり、その活用のため日々努力している人がいることは理解しています。ただ、私が求めているものとは違いました。

発達障害の僕らが生き抜くための「紙1枚」仕事術(SBクリエイティブ)

一方で、障害者の側からも、何らかの努力をしてもいいように思います。

私は、仕事を進めるのにちょっと難がある、障害に由来すると思われる困りごと(抜け漏れ、先送り、過度の自責、段取り苦手、集中しづらさ)があります。

私一人だと、この点をカバーして働かねばなりません。厚生労働省が発表した合理的配慮の指針では、発達障害への合理的配慮事例の中で、このような内容があります。

業務指示やスケジュールを明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順について図等を活用したマニュアルを作成する等の対応を行うこと。

合理的配慮指針(厚生労働省)

まさにこれが私への合理的配慮としてフィットします。同じような困りごとに直面し、この配慮事項が有効な方は多いと思っています。

ただ、そういった合理的配慮がかならずどこでも同じように受けられるとは限りません。

そこで、「配慮事項を自分でやってしまって、より『働く』の選択肢を広げてしまおう!」と考え、上記で挙げた書籍『「紙1枚」仕事術』でご紹介する「タスク管理」を編み出すことになりました。

また、「この合理的配慮の分は自分でどうにかするから、もう一方のこの合理的配慮はお願いします」という「交渉」も可能になりました。

、3社目の某メーカー企業では、自分の納得がいく合理的配慮を伝えることができました。それは、「怒らないでください。改善すべき点があれば、冷静な指摘・提案というかたちでお願いします」というものです。「その代わり、仕事を遂行すること自体は、タスク管理でしっかりやりますので」と伝えることができ、お互いにとって建設的な話し合いをすることができました。

発達障害の僕らが生き抜くための「紙1枚」仕事術(SBクリエイティブ)

企業の側も「障害者だから単純作業」という思い込みを見直し、障害者の側も合理的配慮をできるだけ自分でなんとかする余地がないか考える。

両者がこのように歩み寄ると、発達障害者が活躍できる職場といったものがより身近で現実的なものになってくると思います。

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