耳が聴こえない私と当時の母。
私は2歳で聴覚に異常が生じ、難聴だった。
ちなみに、この事実を知っているのは母だ。
父はほとんど知らない。
ある日、カスタネットのお片付けを幼稚園の授業参観(?)で行われるシーンがあった。
私は最後に片付けた。
最後にカスタネットをかごに入れたのは私だった。
そこに母からの罵声が飛んだ。
「この、グズののろま!
なんですぐ動けないんだバカ!!」
昨日、浜辺であのシーンを思い出してしまっていた。
…あのあと、家でもすごく怒られたなぁ…
ただ、冷静に考えると、難聴の私が幼稚園の先生の言葉を聴き取れず、周りがカスタネットをかごに入れる様子を見て、
「ああ、先生は❝カスタネットをお片付けしましょう❞と言ったんだ」
と感づき、カスタネットをかごに入れに行く。
耳がよく聞こえないのだから当たり前の反応だ。
でも、母は私を罵倒していた。
母は、「のろまな子を育てている駄目な母親」と思われるのが耐えられなかったんだ。
ただ、自分の子に難聴があると知っているのは母であった。
難聴があれば、ワンテンポ行動が遅れる。
そんな当たり前のことも理解できなかった母は、自己愛の塊だったのだろう。
今思えば、哀れな人だ。