小昼時の「野ばら」(Heidenröslein)。
遠くのこれに耳をすませば。
🎵
おはようございます。
毎週にちようびの朝に好きな音楽を語るエッセイ、『にちようびの音。』です。
合唱の、伸びやかで健やかな歌声が朝に快く響きますね。
手元に温かいお茶や白湯を置いて、穏やかに今日をはじめましょう。
ところで、日本には「防災行政無線」というものがあります。
これは行政が持つ無線網で、域内の住民に情報を伝達するためのものです。
ふだん暮らしているとスルーしがちですが、町の随所にそのためのスピーカーが立っていますよね。
田舎だと結構目立つ場所や姿で屹立していることもあります。
櫓になってたりとか。
アレは結構な音量で遠くまで響き渡るので、無意識のうちに馴染みあるものになっている方も多いかと思います。
何かが起こった際に、自治体が町中に音声を流すアレです。
で、私の地元である福岡県の糸島では、大雨台風や火災、行方不明者の捜索や発見報告なんかが、無線で流れてきます。
こうしてまちの日常を影で支える防災行政無線ですが、なかでも印象深いものもあって。
おわかりの方も多いかもしれません。
時報チャイムです。
17時に夕焼け小焼け。田舎の夕方あるある。
🎵🎵
今回ご紹介した曲は、ヴェルナー作曲の『野ばら(Heidenröslein)』。
ゲーテの詩に曲をつけたものとして有名ですね。
同じ曲名でシューベルトの『野ばら』もありますが、こちらもゲーテの詩を歌曲に仕立てたもの。
ちなみに、ゲーテのこの詩は当時大いにバズったそうで、『野ばら』と名された歌曲はヴェルナーやシューベルトのもの以外にも実に100曲以上あります。
今回は慶應義塾ワグネル・ソサエティー女声合唱団のチャンネルから『野ばら』の合唱動画を拝借しました。
よく「親しみやすいメロディー」といいますが、この民謡のようにゆったりと繰り返して聞かせてくれるメロディーを、私は子供の頃から何度も何度も防災無線チャイムで繰り返し聴いているので、それはもう「親しみやすいメロディー」に感じるものです。
おかげでシューベルトの方の『野ばら』があまりピンとこない体になってしまったくらい。
その『野ばら』なんですが、糸島では毎日11時に流れています。
それも糸島全域ではなく、たしか志摩町とかの限られた地域で流れています。
なので私は11時になると、耳をすましてかすかに聞こえる『野ばら』を聴いて楽しんでいたというわけです。
🎵🎵🎵
さて。
ということで今回はヴェルナーの『野ばら』の合唱を紹介しました。
合唱曲の紹介も増やしていきたいですね。
じきに4月。
新学期も控えていますし、さきだって「春のうららの隅田川」を聴く、とかやろうかしら。
ともあれ、ここまでお読みいただきありがとうございます。
余談ですが、ヴェルナーはアルファベットで「Werner」と書きます。
一見して“ウェルナー”や“ウァーナー”と発音してしまいそうですが、ドイツ語は「w」が「ヴ」に近い音で発音しますので、ドイツ語に近い音でカタカナにすると“ヴェルナー”になります。
ドイツ語だと「ヴ」ということなので、ウェルナーでも別に間違いではないかと。
もし“ウェルネル”と読むやつがいたらそいつは古(いにしえ)のドイツ語使いです。
ということで今週は『野ばら』をお届けしました。
それではみなさま、よい一日を。
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