見え方はみんなそれぞれに違うんだよ
学校にいる一年生の子が許せいない息子(弟)
同じ子をめちゃくちゃ可愛がっている姉
寝る前にバトルが始まった。
ああ、なぜ今なんだ・・・
「あいちゃんなんて最低のクソ野郎だ」と息子が怒鳴る
その強い言い方に怒る娘
そんなことない!あいちゃんは可愛いところいっぱいある!
2学期が始まってしばらく経って連日の運動会の練習、朝練で疲れている。
だから早くベッドに行ってゴロゴロしようと思っていたのに
まさかのリラックスするはずの寝室がバトルフィールドになってしまった。
延々と喧嘩が続く
30分以上経過したし、うるさいので仲裁に入ることにした
「あのね、それぞれの見え方は違うんだよ」
「どっちも正解でどっちもハズレなの」
息子のお気に入りのぬいぐるみで解説した
少し離れていて二人から言えるところにサメを置く
それぞれに何に見える?ときく
あ!という顔をした「ペンギンって言われたらそうかも」
「ただの黒い塊かな〜」
よかった気づいてくれて
よかったよ
そうなのよ、見てる場所が違うと見え方も違うの
どこに立っているのか、どこから見てるのかで全然違うの
全く違うものに見えるでしょう。
サメだって知ってるから「とはいえ、サメだよ」って思っているけれど
それがお友達だったら、自分が見ているあいちゃんと他の人が見ているあいちゃんは全然違うかもしれないんだよ
同じ場所から空を見上げたって、私が見ている青はあなたの見ている青とは違うかもしれない。多分違うんだと思う。
私はあなたになってみたことがないから
あなたがみている空の色がどんなのかわからない
私がみている青と同じか
あなたの脳にどう映っているのか
私には知ることは一生を賭けてもできないの
それでも、そうやって生きているの
この世界中の人60億?みんなそうなの
だから誰かの見ているものを「そんなわけないよ」って否定してはいけないの。
だけど、あいちゃんはうちのことプールに沈めてゲラゲラ笑ったんだよ
溺れそうで苦しかったんだよ。
本当に怖かったんだよ。なのにごめんねも言ってないよ
やっちゃいけないことをしたのに、
やっちゃいけないことだったって分かってないじゃん
そんなのクソでしょう
うんうん、わかるよ
あなたは怖い思いをしたから
そう思うんだよ。
ごめんねの話もしてないし
もうやらないねの約束もしていないし
それは全然、許す気にもなれないよ
そんなことされた上に、ラッシュガードの中に
プールに浮いているゴミまで入れて
それは、あなたに映るあいちゃんは意地悪で怖い子
その場で怒ったりしなくて偉かったよ
でもさ、姉ちゃんはそういうことされてないから
可愛いところしか見てないんだよ。
そんな話を丁寧にしたつもり(怒りそうだったけど我慢した)
息子が口を開く「お母さんもあっちチームなの?」
ん???なんだそれ?と思ったけど、もう少し丁寧にヒアリング
「チームではないけれど、可愛いなって思っているよ
私はプールで溺れさせられてないし、嫌なこともされてないし。」
そう言ったら息子、大粒の涙を流して泣き出した
「あなたは今、あいちゃんを許せない自分がダメだと思っているの?」
そう聞いてみた
黙ってうなづく、大きな目に涙をいっぱいに溜めて
そっか、誰か許せない人がいても
あなたがいい子なのは変わらないんだよ
それにいつか許せる時が来るよ
そう言ったら「そんな日は絶対に来ない」とまた大きな目に涙をいっぱいにしていう
長い時間が経ったら忘れたりするし
それでもいいんじゃない?
と言ってみたら
「うちは絶対に忘れたりしない!」←しつこいな〜誰に似た???
それじゃあずーっと覚えて腹立ててたらいいじゃん。
許せない人がいても、あなたが悪い子ってわけじゃないし
忘れないで何年覚えていてもいいよ
でもね、自分のために
ずっと怒っている自分に優しくしてあげるためにだよ
許したり忘れたりするんだと思うよ
そんな言葉をかけたけれど
彼はううううっと泣きながら寝ました。
嫌なことをしてきた人を許してあげるのは自分のため
そして夜中にうなされた彼に
私は思いっきり蹴られた