ブルーノ・ワルター マイベスト10(1)
9月15日がワルターの誕生日ということをソニーミュージックのクラシック公式ツイッターで知り、これまで聴いてきた録音の中から、マイベスト10を選んでみました。Sony ClassicalのSACD録音は、音質が良くワルターの50年以上前に録音された名盤をまるで現在の演奏として聴くような鮮明で高品質の録音となっており、ワルターの演奏の素晴らしさを再認識しました。また、AltusやタワーレコードのSACD録音や、オーパス蔵のリマスター録音も音質が良くお薦めです。マイベスト10は以下の通りです。
第1位,モーツアルト交響曲第40番・25番 ウィーンpo
1956年ライブ録音 Sony Classical SICC19046
第2位, マーラー交響曲第4番 ウィーンpo
1960年ライブ録音 ATKSA-1007
第3位,マーラー交響曲第9番 ウィーンpo
1938年ライブ録音 Opus蔵 OPK2121(廃盤)
第4位,マーラー交響曲大地の歌 ウィーンpo
1952年録音 TOWER RECORDS UNIVERSAL VINTAGE SA-CD COLLECTION
第5位,モーツアルト レクイエム ウィーンpo
1956年録音 Sony Classical SICC10349
第6位,ベートーヴェン交響曲第6番『田園』コロンビア響
1958年録音 Sony Classical SICC10349
第7位,モーツアルト後期交響曲集第35番~第41番コロンビア響
1958~61年録音 Sony Classical SICC10279~81
第8位,シューベルト交響曲第8番『未完成』 ニューヨーク po
1958年録音 Sony Classical SICC10312
第9位,マーラー交響曲第1番『巨人』 コロンビア響
1961年録音 Sony Classical SICC10316
第10位、1930年代のウィーン・フィルとの管弦楽曲
1935~38年 Opus蔵 OPK2017.2021(廃盤)
今回は、第10位の1930年代のウィーン・フィルとの管弦楽曲について書いてみたいと思います。
ワルターのキャリアはヨーロッパで活躍した壮年期(第1890年代~1938年)と、第二次世界大戦でアメリカに亡命してからの円熟期(1939年~1960年)に分けることができますが、以下の録音はいずれも1930年代のウィーン・フィルとの録音です。ワルターはマーラーと師弟関係にあり、マーラーを尊敬していたので、演奏もその影響を受けていたと推察され、大作曲家であり芸術監督でもあったマーラーとウィーン・フィル、ウィーン国立歌劇場の往年の演奏を想像する手掛かりとなるのではないでしょうか。録音は古いですが、オーパス蔵盤によるリマスターにより、ウィーンフィルの豊麗で耽美的な演奏が再現されています。
(残念ながら、皇帝円舞曲とジークフリート牧歌以外は廃盤のようです。)
モーツアルト アイネ・クライネ・ナハトムジーク
1936年録音 OPK2021(廃盤)
モーツアルトの管弦楽の中でも最も人気がある曲の一つですが、華麗にして、典雅、これほど美しい演奏はめったに聴けないでしょう。コロンビア響との1958年の録音もウィーンスタイルを踏襲したステレオ録音で美しい演奏です。(Sony Classical SICC10282)
ベートーヴェン レオノーレ序曲第3番
1936年録音 OPK2021(廃盤)
ベートーヴェンの歌劇『フィデリオ』はオペラの主要レパートリーであり、マーラーやワルターにとっても重要なレパートリーでした。このレオノーレ序曲第3番は管弦楽としても単独で良く演奏されるもので、ワルターのドラマティックなオペラ演奏を垣間見ることができます。
ヨハン・シュトラウス 皇帝円舞曲
1937年録音 OPK2106
ウィーンの宮廷舞踏会を彷彿とさせ夢見るような時間が流れていくウィンナワルツの名曲です。録音されているものの中では、ウィーン・フィルのコンサートマスターであったボスコフスキー(1961年録音)と双璧ではないでしょうか。ボスコフスキーの録音はSACDによるリマスター録音を手掛けるエソテリックのボスコフスキー&ウィーン・フィル シュトラウス・コンサートに収録されています。(エソテリック ESSD90129)
ワーグナー ジークフリート牧歌
1935年録音 OPK2120
ワーグナーが愛妻コジマの誕生日に贈った幸福感に満ちた名曲です。
誕生日の朝、自宅の階段に15人の楽士を配し、ワーグナーが自ら指揮を執り、コジマはその音楽で目を覚ましたということです。なんとも愛情に満ちた贅沢で素晴らしい贈り物ですね。
マーラー交響曲第5番よりアダージェット
1938年録音 OPK2017(廃盤)
マーラーが後に結婚することになるアルマへのラブレターと言われています。 ウィーン国立歌劇場の宮廷楽長としてマーラーに仕えたワルターのマーラーの演奏スタイルを継承した暖かみのある耽美的な演奏と言えるのではないでしょうか。