席を譲るって簡単なこと
日本にいた時、生まれは田舎で、大学は都会だった。
田舎でも都会でも、何歳になっても、電車とかバスで席を譲るのって少し勇気がいる行動だった。
席を譲ることって簡単なようで少し難しかった気がする。
日本にいるとどこにいても何をするにしても人の目が気になってた。
みんながしてるから、私もこうしてみる。
授業中の発表は自分だけ手を挙げると恥ずかしいから、周りを見て手を挙げるかどうか決める。
一番前の席に座ると真面目な人って思われるから、後ろの角を求めて席争奪戦になる。
自撮りをしてるって思われるのが恥ずかしいから、ちょっと陰に行って写真を撮る。
一人で映画に行くと寂しい人って思われるから、誰かと一緒に映画館に行く。
みんながあのコスメを買ってるから、私もあのコスメを買う。
他の人がしてること以外のことをすると、一人だけすごく浮いて見える。
なぜだかわからないけど、なぜだか、席を譲るのって少しだけ難しくて、勇気がいることだった気がする。
席を譲った人がまるでヒーローかのように。
すんごく素敵なことなんだけど。
セブの人は違った
けど、フィリピンにきてこの価値観が一瞬で崩れた。
先日、日本人の知り合いに会った時に
「セブに来てどう?」
って聞かれて、私はマイナスなことしか浮かばなかった。
トイレットペーパー流せないし
排気ガス臭いし
停電に断水なんてしょっちゅう起きる。
日本食は高いし
日本に比べると、セブに住むことはマイナスなことばかりだと思ってた。
けどプラスなこともきっとあるはずだよ、そう思ってたら、実はすぐ目の前にあった。
朝の通勤、私はトライシクル(トゥクトゥクみたいなの)とバスを使う。
通勤時間のバスは時々満員。
私が座ってぼーっとしてたら、おばあちゃんが乗ってきて、けどすでにバスは満員だったから、席はどう頑張っても座れそうになかった。
すると私の目の前に座ってた若いお兄さんが、おばあさんが乗ってきたのを見た瞬間、何も言わずに立ち上がって、席を譲った。
この光景は一回だけじゃない。
何回も同じ光景を見ているし、私が重い荷物を持って満員バスに乗った時も、バスに乗ってる人たちがわざわざ立って席を譲ってくれた。
別の日も、ここ座れるよって席を開けてくれて、もっと奥に腰掛けなよって声もかけてくれる人もいた。
現地語がわからない私、代わりに降りる場所を運転手さんに伝えてくれたり。
セブに来て、ちゃんと見れていなかっただけで、目の前にはいいことが溢れてた。
難しいと思ってたこと、実は簡単だったんだ。
私もこうなりたい、こうなろうと思わせてもらえるセブでの毎日です。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?