自省録16 下を向いて歩く
これまで半世紀を生きてきて、常に前や上を向いて歩き続けたいと思うけど、なかなかそのようにはならない。時には下を向いて歩いていたりする。でもこのような時期も必要であると思うようになってきた。世の中、相反することが併存しており、一方だけでは成り立たない。「煩悩があるからこそ悟りがある」と言われるし、正義があるから悪もあるし、物理学でも作用・反作用の法則がある。
アート作品も正面や上に掛かっている作品だけでなく、下を向いてからこそ発見して楽しめるアートもある。
それは、橋に吐き捨てられたチューインガムの上に描いてアート作品である。
直径5cm足らずのチューインガム上に広がる世界を見て、私はどれだけ心が動かされ、そして元気づけられただろうか。
この橋を渡る時には、思わず下ばかりを向いて歩いている。
下を向いているからこそ出会ったアートであり、私の中では、イギリスではバンクシーと同じくらい好きなアーティストである。また、このアーティストを会える日を楽しみにしている。