自然はすごい! Sense of wonder 「異形の美学」東京大学総合研究博物館
東京大学総合研究博物館というところはその名のとおり東京大学本郷キャンパス内にある博物館です。
入館は無料!常設展示も興味深い展示物であふれていますが、ここの特別展示がいつもとても面白くて気になっています。
今回の「異形の美学」も貴重な自然の不思議をみせていただき、感動しました!
是非是非皆様にもオススメしたい!
最初はその展示のすごさとかおもしろさに気づいていなかったんです。でもここにいつもいらっしゃるボランティアの女性が声をかけてくださり…
「この蝶の羽、なんか違いを感じませんか?」
わたし「色が右と左とちがう・・」(この写真だとあまりその違いが感じられませんが、現物はかなりはっきりと違っていました)
女性「そうですよね。左側が水色ですね。色がちがうわよね。これね、左右でオスとメスっていう蝶なの。一匹にオスとメス両方いるの。すごいでしょ?でね、ここではそういう珍しい蝶が展示されているんです。」
わたし「えー!そうなんですか!聞かなければぜんぜん気づかなくて、ただ蝶がきれいだなあと思っただけで帰ってしまうところでした!」
女性「そうよね。ちょっとこういうこと知るだけでも全然ちがうわよね。すごい蝶がたくさん展示されているの。ゆっくり見て行ってくださいね」
よく気を付けてみれば、蝶の標本の下にもしっかりとこんな記載がある。
「メスは非常に稀で、現在でも知られる個体数は少ない。その雌雄型ともなると、得られる確率は天文学的である。」
通常のメスだけでもかなり貴重らしい。しかもその種の雌雄型というのですからどんなに珍しいものか!と驚きました。
しかし「雌雄型」といわれても、私には意味がわからなかったかもしれないなあと思いました。聞いたことがない言葉と思ってもみなかった状況にピンとこなかったのではないかと思います。そんな種類があるんだなあと、通り過ぎてしまったかもしれません。
だから教えていただいてよかったなあと思いました。
興味の度合いが全然違うものになりました。
あきらかに左右違う色合いなどの羽になっていますね。
こんな世界があるんだと食い入るようにみてしまいました。
また、このような異常型・極珍種に加えて、蝶の状態もとても良く美しさの質の高さにも目を見張りました。
標本の説明は電子画面にて図柄を上下裏表とゆびで動かしながら見ることが出来る展示もあり、蝶の体や裏側なども念入りにみることができます。
しかし、どうしてこんな異形のチョウがうまれるのでしょう。
やはりその疑問にいきつきます。
こんな解説がありました。
例えばここに書かれている「人工的に別種同士を交配させて作り上げる」という事に関しては、果物などに多く見られ、そして私たちはその恩恵をいただいていると感じます。だから、「悪いこと」だけではない。
だけど自然の中でも「出来てしまった」時は、何かの警告のように感じてしまいます。
この蝶はかなり大きく、少しぎょっとしました。
近くに大きさを比較するものがない写真となるため、是非ともこの大きさを確認すべく現地に足を運んでいただけたらと思います。
この蝶の標本のように、個体で雌雄をあわせもったというものでなく、オスメスそれぞれを並べて展示したものもあります。
しかしどれも珍しいものばかりです。
私は蝶の知識が全くないのですが、こういうことにとてもお詳しく、また興味のある方でしたらかなりの珍品種となり、みごたえのある標本になるのではないでしょうか。
また、常設展示の蝶にも興味深いものがありました。
「渡りをするチョウ」と題されたこの展示に驚きました。
「渡りをする」という事は鳥でよく聞きますが、そもそもその鳥の渡りということもとても興味があります。なんの目印もないと思われる空を飛びながらなにを基準にして正確な目的地にたどりつくのか。また、その命がけの行動はなにを意味するのか。そういうことをする種としない種があるのはなぜか。また、例えばどこででも餌を採取することができるようになると「渡り」という行為は「退化」する(そもそも退化するという言葉がふさわしいか疑問ですが・・)のか。興味は尽きません。
さて、もう一つこの会場にて同時に展示されている珍品は「異常巻アンモナイト」というもので、その中でも選りすぐりの珍奇かつ美しく貴重な標本が並べられていました。
本当にみればみるほど不思議です。
だってアンモナイトのあの殻の形は一つのデザインというか「壊れるべきはずがない形」と思っていたから。それがこんなふうに「解体」されたかのように蛇状の物体となりそれがねじれたりくっついたりして新たな形をつくろうとするなんて。なんの目的があってそんな「苦しそうな形」にしようとするのだろう?と考えてしまいます。でも自然はそう成るべく必要があってつくられていくのですよね?本当に不思議です。
究極の異常型チョウの標本やアンモナイト展示を見終わって改めてこの展示のタイトル「異形の美学」ということにたどりつきます。
解説チラシにも記載がありましたが、
「美学」という用語には美の本質・原理などを研究する学問と、美しさに関する独特の考え方や趣味という2つの意味があるといいます。
まさに私も美術などを日頃鑑賞しながら「好み」という世界での美があることを感じ、だれもが同じように共有しているわけではないことも理解しております。「美」の世界は本当に幅広く展開することができます。
会場のボランティアの女性からお聞きしたのですが、
この異形のアンモナイトを「汚い」と評する方もいるそうです。
また、チョウもあまりにうつくしすぎて「不気味」と思う方も。
そういう考え方もよくわかります。
けれど私は今回この展示をみて「感動」したことはまちがいありません。
しかし、私たち人間がどうすることもできないところで「自然」がこのような状況を作り出していることに関しては、なんだかとても「考えさせられ」ました。
同時に
こんな世界があるんだという自分の視野の広がりに対するワクワク感もあり、それはまさにセンスオブワンダーのときめきでした。
自然ってすごい。想像をこえています。
おもしろい世界!
これからもどんどん知りたいです!