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崖で眠る

ここ1か月、精神がかなりギリギリのところにいる。しかし、ギリギリにはギリギリなりの安定というものがあり、崖っぷちに布団を敷いて横になっているような状態に徐々に精神が慣れつつある。たまに下を向くと奈落が見えるので、見なかったことにしてまた布団に潜り込む。何も見なければそこには何もないのと同じだからね。

先日電車に乗っていたら、若い男性が文庫本を読んでいた。一億総スマホ時代に電車内で文庫本を読んでいる人を見るとそれだけで好感度が爆上がりしてしまう。読んでいたのは色川武大だった。渋い。素晴らしい。しかも図書館で借りた本だった。

色川先生ご本人はどう思うか分からないが、図書館で借りた本を読んでいるというのがまた良かった。自分がしょっちゅう本屋に行っては本を買い、その半数以上は積んだままにするような人間だからか、図書館で本を借りる人へのある種の尊敬がある。そりゃあ、経済的な観点から見れば本を買っている私のほうが作者や出版社への貢献度は高いだろう。しかし、図書館に出向き、返却期限のある本を借りてまでわざわざ読むという行為に、読書に対しての熱量を感じるのだ。私は期限内に読み切れる自信がないので最近は図書館に行かない。好きな本を所有して安心するのは読書から最も遠い行為かもしれない。

しかしまあ、話は戻るが、ストレスの強い日々である。神経を宥めてくれるのは漫画や本、クイズ、そしてクイズに関する動画などで、騙し騙しなんとかやっている。こんな時だから、特筆すべきことのない、ちょっとした親切が心に沁みる。自分も他人に情けをかけるべきだと感じる。そのうちもっと余裕がなくなると、それもできなくなるのかもしれない。できるうちにやっておく。

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紺
Big Love…