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好き嫌いをなくすためには
なんでもよく食べてほしい。
食事を作る側の願い、大きくなってほしいという願いからよくあるご相談です。
“食べてほしい”
という大人の希望の前に、味覚の発達を理解するところから始めましょう。
味覚の基本
基本的な味覚=五味
『甘味』『うまみ』『塩味』『酸味』『苦味』
動物的本能としての味覚です。
味覚で、必要か必要でないか?をとらえます。
1 甘味…糖質=炭水化物=エネルギー源
2 うまみ…アミノ酸、タンパク質=体をつくる
3 塩味…ミネラル=体を整える、水分を保つ甘味、うまみ、塩味
この3つは身体に必要なものを取り込むための味覚です。
4 酸味…腐敗物
5 苦味…毒
この2つは動物的本能としては命を守るために懸念するための味覚です。
ピーマンやゴーヤなど、苦味の強い野菜を幼少期に懸念するのは本能的に正しいのです。フルーツなどを苦手とするお子さんがいるのも本能的な味覚からくることなのです。
「好き、嫌い」ではなく“慣れていない”が適切でしょう。「食べなさい」と押し付けることで「懸念」を強くし「嫌い」という意識を強めてしまいます。
では、どのように慣れていくか?
まずは、安心できる大人が、近くで同じものを食べること。
見て学んでいきます。
懸念していても、身近な大人が「おいしい」といって食べていることで、懸念が弱まって「食べてみよう」という気持ちになります。
調理の工夫
調理の工夫として
塩味やうまみと一緒に
例えば、ピーマンは野菜炒めよりは肉詰めや肉炒めで肉のうまみとセットのほうが食べやすい。
味覚の理にかなっているわけです。
トマトにちょっと塩をかける
酸味よりトマトの甘味が引き立つようになります。
【キュウリにみそ】
キュウリの後味に残るほんの少しの苦味も味噌(うまみと塩味)で食べやすく。
定番の食べ方には、本能として好みやすく理にかなっているわけです。
甘みを控える
砂糖の甘味は控える。
炭水化物から摂取する糖はゆっくり消化され、持続的なエネルギーになりますが、砂糖から摂取する糖は、一気に消化され、一瞬は元気になるが、持続性がない。
登山の遭難対策に、チョコレートやキャンディーを入れるのは、どうしても身体が動かなくなったときに、一気にエネルギー値を上げ、ピンチを切り抜けるためです。
これを味覚形成途中の子育てで多用すると、強い甘味を知った味覚は、強い甘味しか好まなくなってしまうのです。炭水化物の弱い甘味をしっかり、ゆっくり消化するより、手っ取り早い甘味を好むようになります。
摂取後は機嫌がいいけど、消化されてしまうと機嫌が悪くなる。
など気分のムラも起こりやすい。
イライラするとチョコレートがおいしく感じる。食事を待たずに、甘いものを欲しがる悪循環が生じます。
砂糖の甘味に比べれば、うまみもほんのわずかな味覚塩味もどんどん強いものを求めるようになってしまいます。酸味、苦味への慣れにくさが生じやすく、結果、偏食、ムラ食い、好き嫌い激しくしてしまいます。
シンプルにお勧めするのは、甘いものを控える食生活です。
甘いものに慣れてしまってからのシフトチェンジは難しいのですが、シンプルです。
まず、おうちに置かないこと。
「ないよ」という状態を続けることです。
ジュース類もまた控えるといいでしょう。
初めは、砂糖切れでイライラします。
糖が切れているわけですから、小さなおにぎりや、おせんべなど、米が原料のものを代替えにすると少しは落ち着きます。
パンもシンプルなものならいいですが、原料に砂糖が結構入っています。あまさの感じにくいものを選ぶことがポイントになってきます。
干し芋などの天然の甘味とでんぷん質のものなどもいいでしょう。
「甘いものはダメ」という禁止的な感覚よりは、
乳幼児期は、味覚を形成している時期なんだ。
味覚の発達を促すには、食事の内容やおやつのあげ方を、手が届く乳幼児期のうちに、少しコントロールしよう。
と成長や発達に目を向けてみると、親としての願いに重なってくると思います。
「食べなさい」「なんで食べないの?」と結果を焦らなくても、酸味、苦味は徐々に慣れていきます。
まずは、味噌汁とごはんをしっかり食べる。おやつはおにぎりシンプルな和食で、食べる喜びを共感する。
そんな食生活を目指してみませんか?
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