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輪廻する宇宙(5)
横山順一著『輪廻する宇宙』の構成は下記の通りです。今回は第三章を描きます。
序章 輪廻転生とは何か 転生者の捜索と科学の方法
第一章 宇宙の中味をさぐる
第二章 宇宙観の変遷 偏見からの解放
第三章 加速膨張宇宙の謎
第四章 ダークエネルギーの正体
第五章 宇宙のはじまり
第六章 宇宙の将来
終章 ダライ・ラマとの邂逅
第三章 加速膨張宇宙の謎①
ニュートンの宇宙
ニュートンの力学理論の集大成である『プリンキピア自然哲学の数学的諸原理』において、時間・空間・場所・運動に関する見解を述べている。
これらについては、万人周知のものとしてその定義を与えることはしない。
普通一般の人々はこれらを感覚に関係した量に他ならないご理解しており、そのためにある種の先入観がある。
これを取り除くためには、それらを絶対的なものと相対的なもの、真なるものと見かけ上のもの、数学的なものと通常のものとに区別した。
通常のものでない、つまり数学的なものを、絶対時間と絶対空間として定義した。
絶対的な、真の、そして数学的な時間は、おのずから、またその本性から、他のなにものにも関わりなく、一様に流れるもので、別の名を持続という。
絶対的な空間は、その本性において、いかなる外的事物にも無関係に、常に同形、不動のものとして存続する。
時間と空間によって特徴づけられる宇宙そのものも、その中にどんな天体や物資があろうとなかろうと、常に変わらぬ存在であるとニュートンは考えたのである。
デカルトは真空の存在を否定し、物体の運動は他の接触によらなければ変化しないと考えていた。
ニュートン自身もあるときまでは重力の起源は物体に流れ込むある種の流体によるものだと考えていたが、のちにこうした考えを放棄した。
虚心坦懐に、逆二乗則、という事実に基づいた現象論的な記述のみで満足することにし、その理由まで問うことを止めたのである。
【フッサール現象学では、問いを究極まで追い詰めていくが、これ以上追い詰めることができない地点に達したら、それを思考の始発点とし、この始発点の背後に回ることを止める。こうした意味で、ニュートンの思考法は、現象学的である。
デカルトは近代哲学の元祖であると言われているが、この時点では少なくとも、宇宙論に関しては、ニュートンの方がより哲学的であった。
ニュートンの著書『プリンキピア自然哲学の数学的諸原理』は、哲学と称しているが、何を大げさなと思っていたが、ニュートンを誤解していたようだ。
次節でもふれられているが、ニュートン以降にアインシュタインが現われたため、時空論については、相対性理論に包括された。
しかし、光速を考慮しない範囲、つまり、生活世界内のことであれば、ニュートン力学で十分に通用している。車、飛行機、船、建屋、橋等々の設計にはニュートン力学は現代でも立派に活用され続けている。】
ニュートン力学の限界と一般相対論の誕生
アインシュタインは特殊相対性理論によってニュートンの運動の法則を塗り替え、一般相対性理論によって万有引力の法則を塗り替えた。つまり、ニュートンの「絶対時間」「絶対空間」という概念を捨て去ったのである。
アインシュタインによると、重い星の周りでは空間が歪んでしまい、その歪みを通して重力が伝わるというのである。