ある機能訓練士の不可解な行動
社長に気に入られて、ほぼ毎月、飲みに連れてもらっていた機能訓練士がいた。
最初は、彼だけではなくて、幾人かの酒が好きな男性スタッフと行っていたのだが、いつからか、彼のみとなっていた。
彼は、飲むと酔いつぶれて、口が軽くなるということで有名だったので、どうも社長は、それを利用していたようでもあった。
「君を、次の管理者にしてやる」みたいなことを社長は、おだてたのか、本気だったのかは、分からないが、彼に喋ったようだ。不思議にも、翌日には、われわれの耳にも伝わってきた。
「いやぁ~私には、そんな気がありませんよ~」なんて、弁解がましいことを言っていた。
社長は、こうして、社内の反応をうかがっていたのかな、と憶測してしまう。
ところが、ある日から、この二人の飲み会は終わった。
監査があることになり、それぞれの部門の書類作成状況を調べてみると、なんと彼は、ほとんど作成していなかったことが、バレたからです。
何とか、皆で協力し、書類を作成して、事なきをえたが、彼は、この日を境に、影も姿もみえない状態となった。
ほぼ、毎日、夜遅く、一人で部屋に残っていたが、いったい何をしていたのだろうと、不可解でならなかった。
後で聞いた話しでは、何らかのきっかけで夫婦仲が、悪くなったので、家に帰りずらかったということだ。
ならば、少しでも書類作りすれば、良かったのじゃないかと思うのが普通ですよね。
書類を作れないという無能ということでもなかった。作っていた書類は、ちゃんとしていた。
ただ、こだわりとプライドが強すぎて、われわれが監査のための書類作りを手伝っていると、限られた時間しかないのに、細かいことにこだわるので、イラッとさせられたぐらいだから、仕事へのとっつきが悪かったのだろう。
監査後は、当然ながら、社長は、彼を職務怠慢ということで、直ちに解雇するのかと、思うところだが、解雇しなかった。
社長は、温情のある人だなと思いきや、なんと、もっと陰湿だった。
監査で決められた、期間以外の書類を、全て作成してから辞めてもらうという処置だった。
なんと、えげつない命令するものだという感想しかない。
彼が、辞めてから、実情をを知らない奥さんが、労働基準局に訴えるという、はなはだ、頓珍漢な結末にまでなった。
デイサービスでは、機能訓練士は、看護師と同じぐらいに、他のスタッフから見れば、一目を置く存在なのだが、なんだかなぁ~でした。
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