海鰻荘奇談 / 香山滋

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・海鰻荘奇談 / 香山滋 (河出文庫)

※8月に書いたものの下書き保存したまま放置していた記事です。

まだかろうじて外出できていた6月半ば頃に足腰の痛みに耐えながらジュンク堂仙台店(惜しくも閉店・・・)で購入。ハイパーオリンピックを一緒に遊んでた同級生がオリンピックの開会式で踊っていた頃、布団に横になりながら読了。香山滋はゴジラの原作者として有名ではあるが他にも興味深い作品を幾つも残している作家である。ゴジラを除くと現在新刊本として入手できるおそらく唯一の作品集がこの「海鰻荘奇談」で江戸川乱歩に見初められたデビュー作「オラン・ペンデグの復讐」や表題作を含む10編の作品を収録したアンソロジー本。「大人のための童話作家」という異名も納得の妖しさと官能的な描写が強烈な匂いを放つ作品集で他に類を見ない設定や奇想に興奮しながらスラスラと読めた。プロットやストーリーは強引だったり昼ドラのようなチープさを感じたりもするがそこで展開されるのは蜥蜴との同性愛だったり古代の蝶との不倫だったりするので混乱させながらも魅了されてしまう。難を言えばDTPオペレーターの研修課題みたいな表紙がこの作者の本質をまるで捉えていないのでもっとヌメヌメとしたキモいイラストの表紙の方が興味を惹くのではないか。

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