父さんと母さんは世界一の幸せ者だ / #シロクマ文芸部 #ボケ学会 #灯火物語杯
(ショートショート、本文:908文字)
十二月。もうすぐおまえの誕生日。
おまえが産まれたときのことを記しておきたい。
父さんが母さんと婚約してしばらくしてから、母さんのおなかの中におまえがいることがわかった。誰の子かと聞いても母さんは「誰の子でもない」とわけのわからないことを言う。父さんはずいぶん悩んだ末、母さんとの婚約を破棄することに決めた。
その夜、夢に天使が現れてこう言った。
「あの娘と結婚しなさい。そしてその子の父となりなさい」
そして、おまえの名前を告げた。
翌朝、すぐに母さんのところに行き、夢のことを話すと、母さんも同じような夢を見ておまえを産むことに決めたと言う。そして、告げられた子どもの名前は同じだった。これは神のお告げだと思い、父さんは母さんと結婚することに決めた。
母さんのおなかが大きくなって臨月になったとき、住民登録をするために離れた故郷の町に行かなければならなくなった。
町に着いたときには日が暮れてしまっていた。二人が泊まれる宿を探したが、大勢の客でどこも部屋は空いてなかった。もう野宿するしかないとあきらめていたところ、ある宿屋の主人が、裏手にある家畜小屋で良ければ、と言ってくれたので、ありがたく泊まらせてもらうことにした。
そこは、馬や牛、羊などといっしょだったが、干し草をベッドにするとほんのりと太陽の香りがして、野宿するよりもずいぶん暖かかった。
その夜、母さんはおまえを産んだ。おまえは母さん似の可愛い男の子だった。宿屋の主人にお願いしてお湯をもらって産湯に使い、毛布でくるんで桶におまえを寝かせた。
ああ、よかった。無事に産まれてよかった。
眠るおまえを見ながら、父さんは神に感謝した。
そのとき、小屋の戸をノックする音がした。
牧場の人たちだった。
彼らもおまえの誕生をお祝いしに来てくれた。
静かな夜。
眠ったおまえを起こさないように皆で静かに静かにお祝いした。
父さんはあの夜のことを一生忘れない。
父さんと母さんは世界一の幸せ者だ。
おまえは神さまからのプレゼント。
他に何もいらない。元気に育ってほしい。
これから先も世界中の人々がおまえの誕生日を祝うだろう。
メリークリスマス!
誕生日おめでとう!
愛する息子イエスへ
父ヨセフより
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
父ヨセフの語りです。
クリスマスはイエスキリストの誕生をお祝いする日です。
少し早いですが、メリークリスマス!
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主宰: #小牧幸助さん
企画: #シロクマ文芸部 お遊び企画
お題: #十二月
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企画: #ボケ学会
お題: #プレゼント
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お題: #クリスマス
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では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
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