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組織戦術に基づく個人の力の優位性:最速マッチレビュー キヤノンイーグルス対NTTコムシャイニングアークス(4月25日)
今日は連日の江戸川でキヤノンイーグルス対NTTコムシャイニングアークス戦を観戦。
娘と一緒なので今日は秩父宮へのハシゴはなし(笑)。日野はもう少しみたい気はするのだけれど。
リーグ戦はスロースターターだったが、後半になってきて調子を上げて来たキヤノンと、東芝は下したもののサントリーに大敗するなど、今一つ歯車が噛み合ってない感のあるNTTコムとの対決。最終43-13(前半24-6)で、リーグ戦後半の調子そのままの結果だった。
NTTコムは試合運びに課題
NTTコムも一方的にやられていたわけではない。前半は先制トライは許すものの、レイドローのPGで点差を詰めていく。
しかし前半インジュアリータイムに入ってからの最後のトライは痛かった。
それがなければ前半19-6で後半の展開はまた変わっていただろう。これもまた、昨日のヤマハと同様、「失点してはいけない時間」の失点だった。
後半も、田村優のPGのあと前田のトライで13-22。そこからのキックオフからの展開でレイドローがボックスキック。
いいハイパントだったが判定はオフサイド。チェイサーの飛び出しが早かった。
そこからのプレーでキヤノンがトライ。事実上勝負を決めた。キックの時の飛び出しはいい加減な選手が少なくないが、こういう形で勝負を分けることがある。普段から注意する習慣を付けて欲しい。
個人のスキルで優位に立ったキヤノン
キヤノンは、いつもの田村優の即興性を生かす攻撃に加え、フルバックの小倉順平とのコンビネーションが冴えまくった。
スクラムのときには2人が左右にポジショニングしてダブルスタンドオフ。
フェイズを重ねるときは田村の後ろのバックドアに当たる位置に小倉が立ち、ダブルライン、トリプルライン攻撃を仕掛ける。
また、ボールトランジションが続くアンストラクチャーな局面がしばしばあったが、そういうときもゲームメーカーが2人いると強い。
さらに、フェイズを重ねたあと、3対3で勝負するような局面ではジェシー・クリエルが効いていた。1人は抜き、ディフェンスを集めてからパスを出すかそのまま抜ききる。
また、NTTコムから移籍し、リーグ戦終盤から出場できるようになったマフィも攻守に活躍した。
ボールキャリーも去ることながら、さらにすごかったのは密集でのファイトだ。ジャッカルを何度か成功させ、ノット・リリース・ザ・ボールも勝ち取った。NTTコムは、ほとんど敵陣22mラインに入れなかったのだが、その理由の多くは中盤でのブレイクダウンでキヤノンが優位だったことにある。
規律とセットピースには課題
その一方で、キヤノンは反則も多く、規律の問題はいまだ解決されていないが、傑出した個人のスキルと、それを生かす組織戦術の熟成度の高さで快勝した。NTTコムは、サントリー戦同様攻め手が少なく、また試合運びにも課題が残った。
最後に1つ。この試合は両チームともセットピースが安定しなかった。
特にキヤノンはこれから上に上がるなら、規律とセットピースの安定は必須条件になるだろう。