ブレイクダウンの重要性:最速マッチレビュー クボタスピアーズ対サントリーサンゴリアス(4月3日)
今日は昼から2時キックオフのクボタスピアーズ対サントリーサンゴリアスを秩父宮で観戦。夜は7時キックオフの川崎フロンターレ対大分トリニータを等々力でダブルヘッダー観戦。
まずは昼の秩父宮から。この試合、クボタのディフェンスとサントリーのアタックの対決が興味深かったので俯瞰して見ようと思ってたのだが、サントリーファンクラブで最前列が取れてしまったので志を変えてグラウンドレベルから(笑)。
今日の見所は?(ここまで試合前)
子供の頃、早稲田大学の本城和彦が好きで、(我ながらミーハー(笑))、彼がサントリーに入ったので自分はトップリーグの中ではフワッとしたサントリーファン。三洋電機と戦った1996年の社会人選手権は東京から花園まで青春18きっぷ使って見に行ったこともある。
けれど今シーズンはここまで、サントリーの試合は実はほとんど見ていない。生で見たのは雷雨中止となった東芝戦の最初の10分あまりだけ。
一方、クボタの試合は2試合見た。なのでクボタの方が自分の知識はある。いずれも、バーナード・フォーリーと立川直道をダブルスタンドオフのように使う鋭いアタックと、相手のバックドアまで押さえにかかる迫力あるラッシュアップディフェンスで勝ちを重ねてきた。
そうなると、各国代表メンバーが集うサントリーのアタックをどうクボタが抑えていくのかがこの試合の焦点。特に具体的にはボーデン・バレットに強烈なラッシュアップディフェンスをかけることが予想される。
それにたいしてバレットがどう対応するか。自分の見るところ、オプションは3つ。バレットの前に流がボックスキックを使ってディフェンスの出足を止めにかかるのが一つのオプション。バレットがタックルを引き付けて何とかしてギャップを見つけていくのが2つ目のオプション。そして、中村亮土とポジションを入れ替わって後ろから試合を組み立てるのが3つ目のオプションだ。
この中からどのような選択をするか、あるいは予想を越える対応をしてくるか。そこに注目して観戦する。(以上試合前)
息詰まる熱戦となった全勝対決
最終スコアは33-26。クボタが一度離されるものの同点に追い付き、その後でサントリーがバレットのトライで勝ち越し。
しかしそこからクボタが攻め込み、ラインアウトからのモールでのトライを狙うがモールが押し出されてサントリーが勝つというスリリングな試合だった。
いまは、最速レビューとして取り上げておきたいポイントを3つ整理しておく。
クボタのディフェンスは?
書き出しにも書いたけれど、この試合のマイポイントはクボタのディフェンス。
結論からいうと、これについてはサントリーに分があった。まずラインオフサイドを連発してしまった。ラッシュアップディフェンスはオフサイドギリギリで飛び出さなければならないから、ここの呼吸が合わないと厳しい。また、サントリーもボックスキックを多用してラッシュアップディフェンスに対応した。
ボーデン・バレットの「クロック周波数」の速さ
もう一つ、クボタのディフェンスを無効化したのが、ボーデン・バレットの判断の速さとキックの正確さだった。
ディフェンスが上がっていたら裏に蹴る。サイドが空いていたら自陣からでもキックパス。ディフェンスが甘かったらラン。
フィールド全体のスペースとプレイヤーの位置が俯瞰的に把握されていて、最適なプレーが瞬時に選択される。
その判断がめちゃくちゃ速く、スタンドから見ていて、プレーを見てからスペースに気づくようなイメージ。まるでコンピューターでいう「クロック周波数」が一人だけ違うような感じだ。俯瞰的にスペースを認識しているという意味で、中村憲剛の全盛期のプレーぶりを思い出した。これはテレビ観戦では気づかなかった。
中盤のブレイクダウン
特に前半だが、クボタが中盤のブレイクダウンで遅れを取り、ノット・リリース・ザ・ボールを連発した。前半、自陣に貼り付けられた大きな理由だ。
後半になると対応できてきたみたいで、逆にサントリーがいくつかのペナルティを犯す。中盤の攻防が試合全体の流れに大きく影響した。ただそのなかでも、スクラムは一貫してクボタが優位で、この部分が、前半の点差を押さえるのに効いていた。
他にも、ライアン・クロッティのプレーぶりとか、バレットの巧妙なキックや、立川に的を絞ったディフェンスとか、三点とれるときに三点とっておくと試合が楽になるとかいろいろあるが、いまの段階ではこのくらいにしておきたい。先週のリコー対キヤノンに続いて、素晴らしい試合だった。