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百道浜でアーシング|博多幸福論#005

“都会では冬の匂いも正しくな〜いやぁぁぁ
百道浜も君も室見川もないやいやぁぁぁぁぁ・・・”

言わずと知れた椎名林檎のデビューアルバム「無罪モラトリアム」の一曲目、「正しい街」の一節。

何度も何度も聴いてきたこの曲の「百道浜」と「室見川」。
福岡の男、そして上京、郷愁の念。。
聴くたびに自分が福岡で青春時代を過ごしたかのような錯覚に陥っていた。

そんな百道浜がこんなにすぐそばにある。

林檎ちゃん、ここには百道浜も室見川もあるよ。
正しい空気が流れてるよ。
って言いたくなってしまう「正しい街」逆輸入の私。

そんなわけで百道浜は引っ越してきてからすぐに遊びに行きました。

街からもそう遠くないところにこんなにひらけた海があるなんて、なんて贅沢な街なんだろう。

20年以上前とはもうすっかり変わってしまっているだろうけど、「正しい街・・・ここかぁ」と思ってしまうし、頭の中ではずっと「正しい街」が流れちゃう。
いや、本当は引越しの日に新幹線乗った時からずーーーーっと脳内では「正しい街」が流れてました。

娘はといえば、住んだこともない場所で郷愁の念を反芻している私を置いて海へ一直線。裸足育児なんて特に意識せず育ててきたのに、靴と靴下を脱ぐスピードがやたら早い天然アーシングチャイルドぶり。

何も教えずとも勝手に裸足になり、地面に体の熱を放ち、土から宇宙のエネルギーを吸い込んで、暴れて、食べて、寝る。
なんか羨ましいな、君。

公園で他の子どもたちがみんな靴を履いて遊んでいても、なぜかうちの子だけは気がついたら裸足。
裸足が気持ちいいのは知っている。
私だって足が冷えることは承知でも家じゃついつい靴下を脱ぎ捨ててしまう裸足派だ。
だがしかし大人にはいつも事情があるのだ。

その日は、ほっといたら日が暮れるまで海から離れない勢いの娘をなんとか歩かせて(とても不機嫌)、海を見渡せるレストランでランチすることに。

結婚式場やレストラン、売店などが連なるこの施設はマリゾンというそうで、浮き輪やゴーグル、ビールにブルーシールアイスまで売っている。
一瞬、ここは沖縄?と思ってしまうほど南国のムードたっぷりで、ここがどこだか本当にわからなくなる。
北海道から始まった私の人生、ずんぶん西へ、南へと移動して来たなぁ…。

レストランのテラス席からは博多湾にポコんポコんと佇むいくつかの小さな島が見える。
隣には海風に吹かれながらバーベキューを楽しむ初老のグループ。

・・・天国か?

それが志賀島で、あれが能古島かなぁ?
未知の場所で生活を始めて、その土地や周りのことを徐々に知っていくこの感覚、やめられない。

子も夫も引越しは大変そうで、面倒くさそうで、二人には言えない私の本当の気持ち。
それは、、
できれば5年おきぐらいで引越しし続けたい。

もちろん、もう少し歳をとって体力がなくなってきたらいよいよ終の住処を探してもいいかなって自然に思うんだろうけど…そうであればいいけど…。


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