医療系大学生が考えるデジタル化の恩恵
私は、現在理学療法士になるための勉強をしています 。
その一方で、将来的には「医療のデジタル化に貢献したい」という野望があります。
今回は、今話題の「デジタル化」の恩恵について私の意見を書いていきたいと思います。
(医療や福祉の話が多くなってしまいますが、予めご了承ください。)
デジタル化の恩恵について考えると、一般的には「効率化」が最初に出てくることが多いと思います。
しかし、「効率化」は非常に表面的な恩恵に過ぎません。
私はデジタル化の恩恵は、さまざまな物事の効率化はもちろんですが、その先にあるのは、
国民一人ひとりに最適なサポートを提供することができるようになるということ
だと考えています。
これまでは、国民のリアルタイムでの情報を集めることができていなかったため、政府は均一化された支援しか行うことができませんでした。
2020年に行われた一人当たり10万円の給付は、均一化された支援の典型的な例の一つです。
本来であれば、生活に困窮している方々に対して、より多くの支援を行うべきですが、全国民の現状を把握できていなかったため、このような均一化された支援しか行うことができませんでした。
しかし、今後はデジタル化を進めることで、国民のデータ(例えば、各家庭の貧困状態など)を集めることができ、格差・貧困問題などに活かすことができるのではないかと期待しています。
また、デジタル化は医療の業界にも大きなインパクトを与えることができると思います。
私はこれから予防医療の価値がますます高まっていくと考えています。
なぜなら、今後は人口減少・少子高齢化が進み、近くに病院がないという患者さんが増加する可能性が高く、また、私自身が目指している理学療法士がリハビリの対象としている疾患は、生活習慣病が原因である場合が多いため、未然に防ぐことができるという特徴があるからです。
その予防医療にデジタル化・テクノロジーを掛け合わせてフル活用することで、住んでいる地域など関係なく“個別化”されたサポートをすることができるのではないかと考えています。
例えば、ウェアラブルデバイスを過疎地域の方々につけていただき、心拍数や血圧、血糖値などをモニタリングできるようにすることで、生活習慣病予防のための遠隔での運動指導、リハビリなどに活かすことができます。
また、そこで得たデータを元に、AIが帰宅方法やルートを提案することで、社会人の運動不足や生活習慣病の改善につなげることができます。
さらに、そこで得たデータを全国規模で蓄積させていくことで、その後の研究や新たな治療法の発見にもつながる可能性があります。
このように、医療のデジタル化は、これまで可視化することができなかったデータを活用して、国民の健康増進の一助になるのではないかと期待しています。
医療におけるデジタル化の恩恵は国民の健康増進につながるだけではありません。
上記のような一人ひとりに最適化された健康増進プログラムを提供することによって、国民全体の健康状態が向上し、増大し続けている医療費の削減につながり、そこで削減できた費用を生活に困窮している方々に分配するなど、格差をなくすための社会保障に使うことができます。
ここまで、デジタル化の恩恵について述べてきました。
では、デジタル化を進める上で、大切なことは何でしょうか?
デジタル化の重要なキーワードは「多様性」だと思います。
例えば
障がい者=何もできない
というのは大きな間違いです。
むしろ、一部のことについては健常者よりも得意だったりします。
これまでは貧困や障がいなどが原因で自身の才能を十分に発揮できていなかった方々が、デジタル化によって個別化されたサポートを受けることになり、自身の才能を発揮できるようになることによって、個性豊かで多様性に富んだ社会を創り上げることにつながります 。
だからこそ、様々な社会問題を解決するための手段の一つとして、私たちはデジタル化を進めたり、テクノロジーを活用したりしていく必要があると思っています。
“均一化”された支援から“個別化”された支援へ