![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117838381/rectangle_large_type_2_7746580ca8dd4f5d2f3983bfe699a15b.jpg?width=1200)
専門社会調査士になったという話
こんにちは。小辻寿規です。
1週間ほど前にnoteを書こうかなと考え出して、以前のアカウントにログインしてみたがログインできず、新たに書き出して3本目の記事になります。
今日は専門社会調査士の認定通知が届き、専門社会調査士になったという話です。社会調査士の資格を知っているよという方は目次の「なぜ、専門社会調査士になろうと考えたのか?」以降をお読みください。
専門社会調査士って何?
専門社会調査士が何かご存知でない方も多いと思われますので、その紹介からはじめます。専門社会調査士は社会調査士の上位資格です。
社会調査士と専門社会調査士について詳しくは以下のようになります。
社会調査士は社会調査の基礎能力を有する専門家です。
社会調査の基礎能力を有する専門家です。調査企画から報告書作成までの社会調査の全過程を学習することにより、基本的な調査方法や分析手法の妥当性、またその問題点を指摘することができます。
専門社会調査士は高度な調査能力を身につけたプロの社会調査士です。
調査の問題点や妥当性等の指摘はもちろんのこと、多様な調査手法を用いた調査企画能力、実際の調査を運営管理する能力、高度な分析手法による報告書執筆などの実践能力を有しています。
https://jasr.or.jp/for_students/what_sr/
簡単に言えば、世の中には調査の名のもとに都合よく処理されたものや作法も無視したようなものが数多くありますが、しっかりとした調査法や統計技法に基づいた調査をできる者が社会調査士ということになります。
今回、私も認定されたことにより社会調査士の仲間入りをすることができました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117838429/picture_pc_ae373df09bfa680e5a4c3838dc2e5d88.png?width=1200)
持っていなくても社会調査できる?
「この資格持っていなくても社会調査していいの?」と疑問に思われる方もいるでしょう。結論から言えば、社会調査は誰でもできます。社会調査士や専門社会調査士は民間資格なので業務独占などできません。
研究を推進するという意味では業務を独占する意味などありませんし、研究者のはしくれとしては強くそう思います。
しかし、あまりにも作法を無視したような調査が社会にありふれていることを考えると少しは規制した方が良いとも思っています。
どうすれば、社会調査士や専門社会調査士になれる?
社会調査士の資格は資格制度参加校である大学にて所定の単位を履修すれば認定されます。専門社会調査士(正規)の資格は社会調査士資格を有して資格制度参加校の大学院で所定の単位履修をし、社会調査を活用した研究論文の提出すれば認定されます。
ちなみに私は資格制度参加校以外の大学で学んでおり専門社会調査士(正規)の資格を単位履修で認定されるには大学院生時に社会調査の単位を9科目だか受講する必要があり、正規のルートでは諦めようと思いました。16年ほど前の大学院修士課程(厳密には前期博士課程だけど)入学時には自分とは縁のない資格だと考えていたのが本音です。
なぜ、専門社会調査士になろうと考えたのか?
実は入学してすぐに転機は訪れました。大学院生になると授業の補助を行うTA(ティーチングアシスタント)のアルバイトをすることになりました。最初は興味のある授業だけを応募し2つほど採用されました。とりあえず、TAは2つほどで、他のアルバイトでもして生計を立てるかと思っていたところ社会調査士関係のTAは当時あまり人気がなかったようで追加募集が多数でていました。
「TAのアルバイトだけでそれなりに稼げるのでは?」なんて思ってしまった私はできる限り応募し、気づけば1週間に7コマのTAを担当するようになっていました。大学が決めた上限が7コマだったはずで修士時代は大学院の授業より学部の授業の方が多く出ていたというのが正直なところです。
しかし、このTA業務をするにあたって私には重大な課題がありました。資格制度参加校以外の大学で学んでいたため、これらの授業を受講した経験がないのです。どうすればよいのか悩むのが普通なのですが、最初の1年はやるしかないと教科書を買い、ひたすら読み込んで勉強し授業に備えました。
今思えば、何考えてたんだろうと思うくらいですが必死でしたが、博士課程に進学した以降には「何であんなに社会調査士の授業のTA業務を頑張ったのに俺は社会調査士資格を持っていないのだろう。」なんて感じはじめていました。
とても勉強にはなったのだけど、学部生を卒業した時に社会調査士の資格を持っている者と修士を修了しても社会調査の資格を何も持っていない私、なんか少しみじめな気持ちになったのです。
その時に知ったのが専門社会調査士(8条規定)による取得ができるという情報でした。8条規定は論文や実績審査による取得方法で調査の実務に携わってきた者を対象としています。
申請区分(1)(「専門社会調査士認定規則」第8条1項(1)による申請)
1.修士号を取得していること、もしくは、それと同等の能力があると認められること。修士号を取得している場合には、取得から3年以上経過していること。
2.社会調査に関わる研究論文をすでに発表していること。
3.実証的な調査研究にたずさわった経験を有すること。
申請区分(2)(「専門社会調査士認定規則」第8条1項(2)による申請)
1.社会調査に関わる実務経験が4年以上あること。
2.研究論文を発表していること、もしくは調査報告書等を作成していること。
https://jasr.or.jp/for_students/guidance/capaappl_sp8/
当時は今と違って大学院を既に修了した教員が社会調査士の授業を担当できるように等、経過措置としての8条規定であったので、8条規定続いてくれと願っていたと記憶しています。
とりあえず、まずは実績を積んでから申請しようと考えました。
いよいよ、申請へ
基本的に社会調査士の科目を教員が担当するには専門社会調査士の資格を認定されている必要があるのです。特に私はこれらの科目を担当する機会もなかったので気づけば、大学教員になった後も申請時期(6月中旬~7月上旬)に専門社会調査士のことを忘れていたり、コロナ禍もあったりして、なかなか申請をせずにいました。
今年は幸運にも申請時期に専門社会調査士のことを思い出し申請しようと考えました。
ただ、ここで大きな問題が発覚します。審査手数料(認定手数料を含む):44,000円(税込)が必要なのです。なかなかの額です。とりあえず、家族に相談してこれからのキャリアには必要ということでOKが出たので申請することができました。合格できなかった場合には認定手数料16,500円が返金されるとかそういった情報もプレゼンテーションするわけですがここまできて私は自信がないのかと考えると少し寂しくなりました。ダメだった時は33,000円(税込)で再申請できるとかまでプレゼンテーションしました。でもよく考えれば合計で60,500円です。
勘違いして16,500円+33,000円=49,500円でダメでも5,000円くらいしか違わないからまあいいかなんて、専門社会調査士を目指す人間としては考えてはいけないことまで考えてくれないだろうかと思いながらの説明でした。
提出の際には、電子媒体(CD、DVD、USBメモリ、SDカード)のいずれかにPDFを収める必要があるのですがギリギリの提出だったこともあり買って置いていた2,000円ほど新品のUSBメモリを使用したりと気づけばお金の出費がどんどん増加するなどと考えながらの申請でした。
ここまでくるとただ認定を願うだけです。
資格認定まで
今年は資格申請の締め切りが7月3日必着だったこともあり、実際に認定される10月1日まで約3ヶ月です。
3ヶ月間毎日とは言いませんがどうなるか心配というのが本音でしたし、10月1日前後はかなり気になっていました。
そして認定日が過ぎた10月2日に【審査結果在中】と書いた角2の封筒が届きました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117854980/picture_pc_573d824c026892ca4fd0ecf6230a31e1.png?width=1200)
封筒は角2です。「これは認定された」ということではないか。心が躍ります。しかし、A4サイズとは言わないまでもそれに近いサイズのものが封筒の中には入っています。社会調査士や専門社会調査士の認定証はA4の半分のサイズもありません。もしかして、一般社団法人社会調査協会の機関誌『社会と調査』が入っているだけなのでは?なんて思いがよぎります。
空き時間にチェックした第20回専門社会調査士(8条規定)資格認定結果によれば認定率は申請区分で86%だったぞ、認定だと早まるなと心の声が聞こえてきます。
とはいえ、ここは「えいや!」と封筒を破ります。勢い余って添状が少し破れましたが認定証が入っていました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117855435/picture_pc_1d4a2165a680e08f49fd1a01c1284bae.jpg?width=1200)
専門社会調査士となって
ここまでは自分自身の視点で専門社会調査士に認定された話を書いてきましたが家族や指導教員だった先生方、TAとして受け入れてくれた先生方、これまでの社会調査にご協力いただいた方々などのお陰で専門社会調査士になることができました。本当にありがとうございます。
あくまでもこれは通過点として、これからの社会調査や学生への指導に活かしていければと考えています。
この3ヶ月間に博士課程の指導教員であった社会学者立岩真也先生とお別れすることになりました。本当であれば、真っ先に報告しなければいけない人でした。
今回は立岩真也先生に報告できればと思いnoteを書きました。アーカイブすることの重要性を教えてくれる先生でしたので。天国で「まあ、資格取れたなら良いんじゃないか。」と笑って読んでくれていることを願っています。