Fragmente: 詩たち

誰かもわからないまま

見覚えのある光景でしょうか
デジャヴュでもないのに
懐かしく思ってしまう
街祭りの最中
日常に浮かび上がる特別
見捨てていた子供時代
木漏れ日を待ちながら
あなた思い出しながら


朝食の追憶

焼けたパン、塗り込むバター
道楽、狂い悶える記憶を隠す
英語でいうならThis is a penしか言えていないという
でもよかった、言葉があることは立ち上がる必要条件だ
目を伏せてあなたを追いかけたけど
俯いていてもあなたの跡しかなくて
届かなかった言葉はまるで落ち葉のようで
いずれふやけてまた別の言葉を養うのである


双極性

思考は心中の対話のようなもので
有象無象が言葉を交わし消えていく
そのどれがワタシなのかもわからないまま
わたしに積み重るディアローグたち


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