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気づけばそれはhappy set
友人に勧められ、初めて訪れた小布施。
そして、朝食ならぜひここへ!とおすすめされたこのお店で、私はある失態をやらかした。
長野県の北東に位置する小布施町は、人口約1万人の長野で最も小さな町。
しかしこの秋の時期は、名産である大きな栗を使ったスイーツを求めて全国各地から人が集まってくる。
観光地として栄えているものの、お会計が現金のみ というお店も多い中で、わたしは何も気づかずキャッシュレスで挑もうとしていた。
気づいた時にはもう遅く、先払いというお会計方式を聞いてメニューを見た時に初めて焦り出した。
『あ、やばい。昨日お金おろせてなかった!!』
…ということは、、、
私が食べたいと思っていたメニューはロースハム&エッグサンド。お値段を見ると1300円。
別のサンドの値段を見るも、1200円以上。
さて、私のお財布の中身は…
『まずい!お札がない…!!
小銭はあったような…』
かき集めて合計するも、総額なんと1150円。
(あちゃ〜、やってしまった。。。)
これが私のこのカフェデビューだった。
やってしまったと思ったのも束の間、メニューに目を移すと
スープ 700円 の文字。
『これだ!』と思い、レジでなけなしの現金を抱えてスープを注文した。
念のため『すみません、現金のみですよね…?』と店員さんに聞くと、申し訳なさそうに『そうなんです』と一言。
なんだかこちらも申し訳なくなってしまい、『手持ちの現金が全然なくて…』と恥ずかしながらに伝えた。
注文を待つ間、お金をおろしてこなかった後悔が少しずつ増ししてきたが、外の緑と鳥の様子に癒されてなんだか少しずつ気持ちが落ち着いてきた。
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すると、どうだろう。
スープしか頼まなかったはずの私のテーブルには、スープとパン2片が届いた。
そして、『ごめんねぇ、よかったら食べて。』と店員さんが一言。
善意で用意してくださった優しさに胸が暖かくなる。
『ありがとうございます…!』と喜びと申し訳なさと、(銭なしの貧相な人に見えたかな…)と若干の恥ずかしさを抱えながらありがたくいただいた。
(あぁ、なんて優しい方なんだろう。)
見知らぬ人からの温かい愛に心を照らされた気持ちになっていたら、
まだまだ!と言わんばかりに少しのコーヒーを差し出してくれた。
『よかったら飲んで。』と。
…(さっきもいただいてしまったのに、こんなにいいのか)と恐れ多くなりながらいただいたコーヒーは、なんともまろやかでなんとも優しい味がした。
頼んだのは700円のスープ一杯だったはずなのに、気づいたらパンとコーヒーのついた happy setになっていた。
そして、その一通りの流れを思い返すと自分のおばあちゃんの姿が目に浮かんだ。
うちのおばあちゃんは和菓子屋をやりながら、いつもお客さんが買った分より多くおまけを着けてしまうおばあちゃんだった。
作っているおじいちゃんからすると売り上げに影響するので困ったこともあったと思うのだが、このおばあちゃんがいたからこそうちのお店は愛されていたと断言できる。
おじいちゃんの職人技とおばあちゃんの接客の愛嬌があってこそのお店だった。
そんな、この資本主義社会において利益につながらない"おまけ"こそが、この地にまた来たいと思う"よろこびと愛着"につながり、"忘れられないhappyな思い出"になっているのだろう。
まさか、お店に入った時はこんなことになるとは思わなかった。
思わぬ形でいただいた温かい優しさは、
自分が他の人に与える形で循環させていきたい。
そういったhappyの連鎖の積み重ねこそが、私たちの暮らしをちょっと豊かにしてくれるから。
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