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死生観と看護

1. 看取り時の看護師の精神的負担

先日の投稿に引き続き、
死生観と看護についての研究をご紹介したいと思います。

看護師の精神的負担の要因として、「死に対する恐怖」があることが分かっています(河野, 1988)。

死への恐怖は人間が経験する普遍的な恐怖で、看護師は死に直面する患者を通して自分の死を意識している(Peter, 2013)と考えられています。

看護師は死を喚起させる患者との関りが多いため、一般人と比較して死への恐怖を感じる機会が多いと言えます。

2. 「看護師の死の恐怖」による患者への影響

「看護師の死への恐怖」は患者へのケアに影響していています。

例えば、看護師の「死への恐怖」は患者を避けることと関連して(Matsui, 14)、患者への態度においても負の影響があった(Braun, 2010)と分かっています。

私自身の経験からも、新人の時は亡くなる前の患者さんのお部屋に行くことが怖くて、足が遠のいた記憶があります。

何故なら「死ぬのかなあ?」とダイレクトに聞かれることがあるからでした・・

「死んだらどうなるのか?」という死生観について学んだ機会も少なく、日本においては宗教も根付いてないため、ただ漠然とする「死」の概念にただただ怯えていたんだと思います。

現在は、大学院で死生学研究室に入らせていただいた経験から私なりの死生学が少しづつ確立されてきたので、看取り場面でも全く恐怖はありません。

看護学部での死生学教育は重要だと感じていて、自分の教育では死生学をしっか学べるように工夫をしています。

看護師の死の恐怖についての患者への影響についての研究では、
「死への恐怖」がある看護師ほど、患者や家族と死について話すことを避けたいと感じていたとのことです(Deffner, 11)。

つまり、「看護師の死の恐怖」があることにより、患者へのケアの質が低下すると考えられ、「看護師の死の恐怖」の低減は、看護師の精神的健康を守るだけでなく、患者へのケアの質を上げるためにも重要となっています。

患者さんが安心して孤独を感じない看取りを行うためには、まず看護師が感じる死の恐怖を低減する必要があると感じています。



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