ひとつの星

悲しい夜に天を仰ぐと
いつもより星が綺麗で
宙(そら)が心に寄り添ったか?
なんて、馬鹿げたことを考える

よく隣で笑う君から
ふといい香りがして
ズルいと思ってしまう
僕は簡単には落とせない

傍から見ると
僕らは恋人らしい
別に嬉しくはないけれど
嫌な気持ちでもない

君といると僕は
かっこつけられずに
一言多く話してしまう
「僕は簡単には落とせないよ」とか

君から見ると
僕は「かわいい人」だと
別に嬉しくはないけれど
僕は特別なんだよな

君の特別ってなんだろう
どんな人を指すんだろう
宙(そら)の星空のひとつか
はたまた美しいひとつの星か

後者であってほしいと願った僕に
違和感を感じた


僕は君に恋したんだ

好きになってはいけないと
わかっていたのに
一緒に過ごすべきではなかったんだ

ああ、どうしよう

僕は後ろめたい気持ちと裏腹に
君を奪いに行く準備をはじめている
涙を流しながら、一張羅を羽織る

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