【朝渋読書部】あなたの人生の意味
朝渋読書部、先日読み終わったのはこちらです。
基本は、様々な人の生き方を紹介し、「人生の意味とはなにか」をテーマに書かれた本です。
導入に、人間には2通りの生き方がある、と「アダムⅠ」と「アダムⅡ」の話が出てきます。
アダムⅠ・・・履歴書向きの美徳。外向き。何かを作り、築き上げること、生み出すこと、新たな何かを発見することを望み、高い地位と勝利を求める人格。
アダムⅡ・・・追悼文向きの美徳。内向き。心のうちに何らかの道徳的資質を持とうとする。
いろんな見え方がありますが、この本は、アダムⅡを磨き上げ生きてきた偉人たちの物語を集めています。
◆フランシス・パーキンズ・・・元アメリカ合衆国労働長官。ルーズベルト大統領に抜擢され、労働者の待遇改善に奔走した女性。
◆ドワイト・アイゼンハワー・・・第34代アメリカ合衆国大統領
◆ドロシー・デイ・・・社会活動家。キリスト教を信仰し、カトリック労働者運動を創立。
◆ジョージ・マーシャル・・・第二次世界大戦のヨーロッパ復興プランである通称「マーシャル・プラン」の提唱者
◆ランドルフとラスティン・・・A・フィリップ・ランドルフとバイヤード・ラスティン。アフリカ系アメリカ人。黒人解放運動家。
◆ジョージ・エリオット・・・19世紀の大作家。代表作は『アダム・ビード』『サイラス・マーナー』『ミドルマーチ』など。
◆アウグスティヌス・・・古代キリスト教のいわゆる神父。ローマ帝国にてキリスト教が国教となっていた時代に活躍し、正統信仰を確立。
◆サミュエル・ジョンソン・・・詩人。18世紀英国において「文壇の大御所」と呼ばれた。本の中では、「エセー」で有名なモンテーニュと対比しながら解説されています。
全てを通して主張されているのは、近代において「アダムⅠ」を追い求める生き方が主流となり、「アダムⅡ」を追い求める生き方の重要性は下がっているのではないか?ということ。
「アダムⅠ」の生き方は本書の中で「大きい私」や「自分には無限の可能性があり、それを磨くことで成功が得られる。成功を得ることが人生の意味だ」といったニュアンスの言葉が繰り返し、繰り返し出てきます。
しかし、「アダムⅡ」の生き方では、「自分は曲がった存在であり、それを正すために強い意志を持って生きていく」「人生の意味を問う意味はない、人生があなたに意味を求めるのだ」と言う表現が何度か出てきます。
この本の中に出てくる人物たちは、自分にいろんな問題(依存症や、愛情欠乏など)を抱えていても、強い意志でそれを克服し、「アダムⅡ」を磨き続ける人生を歩んできていました。
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個人的には、「自分の可能性」は信じた方が人生は生きやすいと思っています。自分自身、自己肯定力がなく、自信が持てず、行動ができないことのほうが多いなぁと悩みのタネなのですよね。
なので、「大きい私」を持っている人を見ていると、羨ましいなぁという気持ちが先に立ちます。そして、素敵な「アダムⅡ」も持ち合わせている人もたくさんいると思っているのです。
「アダムⅠ」だけでは、人生は虚しいかもしれない。
同時に、「アダムⅡ」を磨くことも意識しなければ、表面的な成功のみが手に入ったとしても、死ぬときに良い人生だったと終えることはできないのではないかとも想うのです。
自分の中のアダムⅠとアダムⅡ、双方を磨きあいながら、どんなあり方をしたいのか、と問い続けるのが、人生の意味なのかもしれません。
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