比べてしまうなら突き抜けろ
私には海外経験がないことによるコンプレックスがあった。
あった、いうことはつい最近海外に行ってきたということである。刺激も多く、楽しい旅行だった。そしてコンプレックスも多少は薄らいだ気がする。心の中で突っかかっていたものがとれたのだから。
北朝鮮を見に韓国に行ってきた。
大学の中で、北朝鮮を肉眼で見た人がどれほどいるだろう。まあ早稲田はマンモス校だし変人金持ちの巣窟だからそりゃ私だけってことはないだろうけど。
それでも、私の近辺では唯一の経験。誰もしようとしない、たった一つの価値のある経験。いつも経験の足りなさに嘆き自分を卑下してきたが、やっと誰にも譲らないものができた。
Twitterを見れば、こんなこと大したことのないように感じてしまう。エベレストに登っている同級生がいるらしい。親の会社でインターンしている人がいるらしい。今まではそんな人たちを見て傷つき落ち込んでいた。
もっとお金があれば、もっと親がすごければ、もっと恵まれた家系なら、もっと恵まれた容姿なら。上を見ればキリがないのに、上を見続ける。下を見続けるのも良くないけど、「ガチャで当たった人」と自分を比べるのは自然にやってしまうことだ。
いつも何かと比べてしまう私は、誰かと比べることでしか自己肯定感を高めることができない。それ以外の選択肢はない。できない。
それだったらいっそのことできる限りのことをしようと思う。嘆いている場合ではない。
幸い、私には絵の才能がある。何にもできないわけじゃない。何かしらはそこそこできる。できる限りのことをして、人生というゲームに張り合ってみる。それができればベストだ。
北朝鮮を見たというおそらく唯一無二であろう経験にもっと自信を持って、他の学生と並び立ちたい。ただ落ちこぼれていくのでは、大学生活と早稲田のメリットを無駄にしてしまう。
海外コンプレックスを払拭したことによって、私はスタートラインに立った。みんなはもう走り出している。
出遅れた分だけダッシュして、自分のペースで追い越せ。
私は深海魚にはならない。早稲田のガンと呼ばれて一人前だ。