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はじめての2泊3日

重度の知的障害がある自閉症の次男は、激しい自傷他害行為があったために現在医療保護入院している。
昨年何回か、1泊2日での外泊訓練をしていたが、年明け早々に次男の外泊訓練を再開した。今度は2泊3日。
以下はその時の様子をメモしたもの。

1日目
・帰宅後玄関を開けるなり服を脱いで下着姿になる(お家モードON)
・買い置きのジュースを片っ端から飲み、飲みきれないものは洗面所に流した
・冷蔵庫からアイスクリームを出して母親に「どうぞ」と食べるよう促した
・夕食時、おかわり用に鍋に残っているハタハタ汁を捨てようとして止められ、ムキーッと怒るが「みんなのおかわりの分だよ」と言われ諦める
・夕食後、自分から「お薬」と言って服薬(薬の用意は母親)
・瓶に残っていたインスタントコーヒーをマグカップに全部入れ、「作って」と差し出されたので母親が分量を調整して薄く作って飲ませた
その後詰替え用がないか台所の棚を探していた(敢えて詰替え用は用意しなかった)
・夜は時々ウトウトするもののほとんど眠らなかった

2日目
・朝、「ゼリー飲料がない」と言って癇癪をおこす→母親が隠しておいたものを出すと機嫌が治った
・遅く起きてきた祖父の朝食の世話を焼く
・長男の愛称を叫ぶので「呼んでおいで」と声をかけたら連れてきた
・食器洗いする母親の側から離れないので、洗い終えた食器を手渡すと食器棚にしまってくれた
・シール遊び、スキンシップ遊びを中心に過ごす
・昨夜あまり寝ていないのに、昼寝したり眠そうにする様子はない
・昨日飲み切って残っていないのに「コーヒー」と言ってインスタントコーヒーを探す(気に入ったものには執着する)
・夕食後、水で薬を飲ませたあと、寝室に向かった(20時45分頃)
・しばらく静かにしていて、気が付いたら暖房のついている居間に行って寝ていた
・夜中に起きて、冷蔵庫にあった麦茶(2リットル)を飲んだらしく、容器が空になっていた(飲みきれない分は捨てたらしい)

3日目
・朝食後、冷蔵庫の中を物色し、タッパーに詰めてあった昨夜のおでんの残りを全て捨ててしまった
・母親が食器洗いをしていると積極的にお手伝いをしようとする

外泊訓練の度に父親のベッドからシーツとベッドパッドと枕カバーを外して床に放り出すのは今回もやった。恒例行事。
それから、居間に置いてあった箱ティッシュの中身を全部取り出してぐしゃぐしゃにして捨てるのも恒例行事。
ただ、月の中旬に入ったばかりのせいか、カレンダーを剥がすのはやらなかった。これが下旬だったらやるかもしれないけど。

帰る時間になって、次男が車に乗ることに抵抗するかと心配していたが、すんなりと乗ってくれて、しかも来るときに持ってきたマイバッグに絵本を入れていた。
病院に着くと、「あ、着いたのね」とでもいうようにスッと車から降り、病院の中に入った。
病棟の入り口で看護師さんを待っている間、不安そうな表情をしたので次男の手をぎゅっと握ったり、ハグして背中をトントン叩いたりした。
「またね」と言って、次男は看護師さんに連れられて病室に入っていった。

今回の外泊訓練は、多少のイタズラやこだわり行動があったものの、トータルで見るとおりこうさんで、問題とされるのは眠らないことだけだった。
次男にしてはおりこう過ぎる。優秀過ぎる。
後でとんでもないことになるんじゃないかと心配になるほどだ。

次男の様子が良すぎると心配になるのは、たぶん「アルジャーノンに花束を」の小説が頭をよぎるせい。
まだ独身で結婚のけの字も考えていない頃に読んだ。
次男を生んで障害が分かってから、時々あのストーリーが頭の中に浮かんでくる。
次男がお利口になるのは喜ばしいことなのに、もしかしたらこれがピークでこの後知能が低下していくのではと不安になるのだ。
ノンフィクションではなく、フィクションだというのに。


担当医と、福祉相談員と、学校と情報交換して、次男の今後を考えていくのだが、とりあえず、今月中にもう一度2泊3日で外泊訓練をさせてみようと思っている。


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ひやみん
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