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カゴいっぱいの衝動を

自閉症で重度の知的障害がある我が家の次男は、特別支援学校高等部の3年生だ。
高1の登校渋りから始まって、今は学校の担任の先生が週1回、訪問指導に来てくださっている。

次男の衝動的な行動や、機嫌の上下動の激しさを抑えるために、あまり刺激を与えないようにと医師から言われているが、なんにもしないで1日を過ごすわけにもいかず、決まったドラッグストアでだけ好きなジュースやゼリー飲料を買うことを、次男のお楽しみタイムにしている。

その時の次男の機嫌にもよるし、来ているお客さんの中に小さい子(大体小学生以下)がいると、見つけた途端に怯えたり機嫌が悪くなったりしてしまうので、なるべく早く簡潔に買い物を済ませるようにしているが、機嫌が良すぎるとこれまた問題があるのだ。

店頭に陳列しているお茶を、見える範囲にある全部、かごに入れてしまう。
制止すると、ムキーッと声を上げてしがみついたり頭突きしてくるのであまり強く言えず、結局かごに入ったものを棚に戻さず買ってしまう。
いつだったかは、カマンベールチーズを3個買わされてしまい、帰宅後次男はそれをひとりでぺろりとたいらげた。

普段なら、ゼリー飲料1個とお茶1~2本、コーラ1~2本で済むのだが、先日は店内で知人に会い挨拶している間に次男がふらふらと歩きだして、「おくすりのめたね」を棚にある分全部、3個をカゴに入れて買わざるを得ない状態になった。
家に着いて、次男はおくすりのめたねを3個一気飲みし、お腹が緩くなって大変なことになった。

昨日のこと。
次男が勝手にとーちゃんの車に乗り込み、リサイクルボックスのあるスーパーに連れて行ってもらった。(マイバスケットにペットボトルやトレーを入れてあって、スーパーに行くときにリサイクルボックスに入れている)
次男はリサイクルボックスにトレー等を入れ、店内に入っていったのでとーちゃんがついていくと、何を思ったのかほうじ茶のペットボトルをそこにあるだけ全部、カゴに入れた。
元に戻そうとすると次男が怒るので、とーちゃんは渋々33本のほうじ茶を買った。
よほど腹が立ったのだろう。
家で夕食の支度をしているところにとーちゃんから電話があり、「今から帰るから!」とキレ気味に言われた。

はたして次男が帰ってくると、カゴいっぱいにほうじ茶を入れて持ってきた。


買ってしまったものはしょうがないので家族みんなで少しずつ飲みたいところだが、次男にとってはボクだけのお茶なので、居間のテーブルに乗せてひとりで少しずつ飲んでいた。

が、ここで大惨事が起きる。
次男が居間の畳の上に、食べたものを盛大に吐いたのだ。
「あー、吐いちゃったね。無理して全部飲まなくてもいいんだよ」と、次男に声をかけながら後片付け。
居間がきれいになると、次男は再びお茶を飲みだした。
そして10分以上経過した頃、次男は洗面所にいた。
洗面所の鏡に向かって、また盛大に嘔吐。まるでマーライオン。
今度は洗面所の掃除か…。とボヤく間もなく汚れた洗面台の大掃除。
結局、飲みきれなかったお茶は、次男が全部捨ててしまった。

次男は目の前にある食べ物飲み物を、その場から消してしまいたくなるらしい。
衝動的でもあり、強迫的でもある。
衝動と強迫、ダブルで暴走してしまったようだ。

毎日がこんな調子なので、次男を自宅で育てることに限界を感じている。
このままでは、体力的にも経済的にも、我が家はもたない。

次男の誕生日を境に、児童向け福祉サービスから成人向け福祉サービスに移行するので、その手続きをしている。
担当医に意見書を書いてもらって、市の福祉課で区分を決め、施設入所の受け入れ先を探し…。
次男の巣立ちのカウントダウンは始まっている。

もし施設入所が決まり次男が家を出たとして、たぶん私はいろんな心配をするだろう。
壁壊してないか…とか、食事のときに他の利用者さんと取り合いのトラブルにならないか…とか、食欲と衝動と強迫観念が暴走したらすごいことになるって施設の方に教えなくちゃ…とか。

悩みは続く…。

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ひやみん
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