ファンタスティックコント ～動物たちは頑張るぞ編～
～ 動物たちは頑張るぞ編 ～
① 荷物は重くなる
ロバが上り坂で、荷物を引っ張り運んでいきます。大変でした。
ロバが下り坂で、先を行く荷物に引っ張られていきます。楽でした。
川に入りました。荷物が浮かびました。ロバは上に乗りました。疲れが取れました。
居眠りをしているうちに、目的地を通り過ぎてしまいました。また上り坂になりました。
② 愛は距離だ
二匹のキリンが愛し合っていました。
首を絡めて接吻しました。
「愛は永遠だ」
「私たち、一生、一緒よ」
首が巻き付いて、息ができなくなりました。
「苦しい。もう少し、ゆるめてくれ」
「あなたもよ」
二匹の首はゆるくなりました。
「やっと息ができた。死ぬかと思った」
「このぐらいの隙間が、ちょうどいいわね」
③ 熱心なモグラ
モグラが穴を掘っていきました。地球の反対側に出てしまいました。
風通しがよくなりました。
夏は涼しい風。冬は暖かい風。
モグラは今日もまた、どこかで穴を掘っています。
地球は、穴だらけになってしまいました。
風通しがよくなりました。
④ 熱心なビーバー
ビーバーがダムを次々と造っていきます。
川のいたるところにダムができました。
洪水がなくなりました。
ビーバーは今日もまた、どこかでダムを作っています。
川の水が、海に流れなくなりました。
⑤ どっちが速いの?
下りの坂道で、サラブレットとロバが競争をしました。
ロバが勝ちました。
サラブレッドが悔しがりました。
「お金がかかってないと、本気になれないんだよね」
ロバが胸を張りました。
「お金のためになんか、走るものか」
ロバはローラースケートを履いていました。
スケートが脱げませんでした。
ロバは帰れなくなりました。
⑥ 道を間違えちゃった
渡り鳥が、道を間違えてしまいました。
ボヤキが出ました。
「やっぱり『ナビ』の時代だよな」
⑦ 死んだふり
熊が出てきました。
ハンターが猟銃を構えました。
熊が死んだふりをしました。
「まだ撃ってねえよ」
熊は慌てて逃げました。速いのなんの。
ハンターがぼやきました。
「さっき撃てばよかった」
⑧ 獣医の歯医者さん
ライオンの左の牙が痛くなりました。虫歯でした。
獣医の歯医者さんに、診てもらいました。
「左の牙を治療してください」
歯医者さんが高速回転しているドリルを構えました。
ライオンが口を開けたまま吠えました。
「健康保険、ききますか」
「対象外です」
「クレジットカード、使えますかあ。ガオー」
ガリガリガリガリ
⑨ 歯磨きは毎日
独身の雄ライオンは毎日歯磨きをすることにしました。
うまくできませんでした。
雌ライオンに牙を舐めてもらいました。
結婚しました。
雄ライオンは吠えました。
「男は牙がすべてさ」
夫婦になったら、雌ライオンは、牙を舐めるのが面倒くさくなりました。
「自分でできないんたったら、牙、抜いたら」
⑩ 牙、貸してあげる
雄ライオンが牙の入れ歯を磨いています。ピカピカになりました。
雌ライオンが狩りに行こうとしました。
雄ライオンが入れ歯を渡しました。
「これ持っていきなさい」
雌ライオンはピカピカの牙をはめて出発しました。
サイズが顎に合いませんでした。
⑪ 動物園の老人(獣)ホーム
動物園で年寄のライオンが餌に噛みつきました。
入れ歯が外れました。
『百獣の王』の看板を下ろすことにしました。
ライオンは動物園専用の老人(獣)ホームに入ることにしました。
ホームには、動物園を引退したゾウやタヌキやウサギたちがいました。
ライオンが挨拶をしました。
「新入です。よろしくおねがいします」
ゾウが鼻で廊下をさして、言いました。
「まず廊下の掃除から覚えなさい。仕事はいっぱいあるよ。みんなに、よくききなさい」
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