「雫の先」
火山竜一(ひやま りゅういち)
暗渠に挟まる魂の
うら悲しい呻きが
真珠となって
氷のテーブルの上に
凍える夜
顔のない少女が
泣き伏した姿で
凍死した
忘れ去られた
母の命日に
崩れた
少女の亡骸より
青春の化石が
鳩となり
廃墟の大空へ
飛翔した
広漠とした
大空の中
我を忘れた
罪なき鳩を
戦場の
気まぐれな
流れ矢が
貼り付けた
沈黙の大地に
悲しく遠い
鳩の胸より
鮮血が
規則正しく
滴って
見知らぬ額を
打ち続けるのだ
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