ショートコント8番勝負 ~個性の強すぎる小学一年生編~
ちょっと味の濃い実験的な作品です。
注→本作は多数の名前が出できますが、すべてコント用に創案したものです。
①クラス名簿はひらがなで
一年一組担任の平凡並子(へいぼん なみこ)先生が、みんなにわかりやすいように、ひらがなで名簿を作りました。席順に書かれた名簿をクラスのみんなに配りました。
『せなか まるこ』『ちから こぶた』『くちが すぎた』『うわさ はなこ』
『きもち だけよ』『とべば いくよ』『はるが きたろう』『まんてん とるぞう』
『どうでも いいこ』『おかね ためこ』『せのび したこ』『やれば できる』
『ばくち すきよ』『あたま はげた』『かたが こるぞう』『はなお かむこ』
『うそは いやよ』『いいこと あるよ』『たべすぎ げんき』『ふとい はらこ』
『なけば とおる』『きんこ からよ』『いきが こもる』『あまい なめこ』
『つのが おれた』『おなか ふとし』『おかし すきお』『おおくち たたこ』
『いいわけ するお』『いうこと きくたろう』『おおまた ひらこ』『かね くれお』
『めだち すぎた』『おにが にげた』『はねが はえる』『あきらめ ないこ』
『まにあ こりたろう』『すきが ないこ』『まける ものか』『おきた ころぶ』
以上、四十名の個性的な児童ばかりでした。
② みんなで縄跳び
体育の授業は縄跳びです。
長い縄を回しました。児童は次々と飛び込んで、縄を回している二人を除いて、クラス全員が入りました。
完璧でした。
いつまでも縄を回し、みんなは跳び続けました。
抜け方が、わかりませんでした。
先生もどう言ったらいいのか、タイミングがつかめませんでした。
放課後も跳び続けました。
夜も……トホホ、誰か止めて。
③ 校庭の砂場でヒマラヤ
みんなで富士山を作りました。
きれいな富士山になりました。
「次はヒマラヤだ」
砂が足りませんでした。
④ お相撲さんと綱引き
テレビの企画で、クラス全員で本物の大横綱と綱引きをすることになりました。
さすがに、四十人の児童のほうが、力がありました。
先生が行司役です。
「はい、児童チームの勝ち」
嬉しくなって、クラスに相撲部を作ることで盛り上がりました。
コーチは大横綱が立候補。胸を叩きました。
「どすこい」
『くちが すぎた』がディレクターに一言。
「ちょっと、もの足りないんだよね」
⑤ 平凡並子先生と綱引き
平凡並子先生対クラス全員で、綱引きをしました。
並子先生は、なんと持ちこたえました。
綱は、並子先生の後ろの電柱に、結び付けられていたのです。
『まける ものか』が並子先生の後ろにまわって、そっと結び目をほどいてしまいました。
先生は、気が付いていませんでした。
クラスのみんなは、並子先生ともう一度勝負をすることになりました。
「せーの」
並子先生は、校舎の向こうにふっ飛びました。
⑥ タイヤはみんな同じか
小学校の先生たちは、学校に車で通勤していました。
子供たちの希望で、先生の車同士で、綱引きをすることになりました。
同じ排気量の車で対決です。
いざ勝負。
煙を上げて、タイヤが地面の上で空回りしました。
どちらの車も、タイヤがすり減って、パンクしてしまいました。
「大変だあ」
子供たちは、お小遣いを出し合いました。
足りませんでした。
家に帰ってから、お母さんにお金をもらうと、それぞれ勝手にタイヤを買いに行きました。
子供たちは小学校に、あちこちからタイヤを転がして持ってきました。
「先生、ごめんね」
タイヤの大きさはみんなバラバラでした。
タイヤは三輪車用、自転車用、一個だけトラック用でした。
⑦ 相撲の言い訳
休み時間のことでした。
『まんてん とるぞう』と『せなか まるこ』は腕相撲をしました。
『せなか まるこ』が勝ちました。
『まんてん とるぞう』が言い訳をしました。
「僕は鉛筆より重いものを、持ったことがないからね」
『いうこと きくたろう』と『おおくち たたこ』が足相撲をしました。
『いうこと きくたろう』が勝ちました。
『おおくち たたこ』が悔しそうな顔をしました。
「わたし、陸上選手になってオリンピックに出るの。足相撲なんてオリンピックの種目じゃないから、どうでもいいのよ」
『まにあ こりたろう』と『とべば いくよ』が指相撲をしました。
『とべば いくよ』が勝ちました。
『まにあ こりたろう』が負け惜しみ。
「ぼくは将来ゲームのプロになるんだ。指の使い方が違うんだよね」
それぞれの勝負に、みんなはお小遣いをかけました。
『ばくち すきよ』の一人負けでした。
『おかね ためこ』の一人勝ちでした。
『かね くれお』が『おかね ためこ』にデートを申し込みました。
『おかね ためこ』が条件を付けました。
「支払いは、『くれお』くんよ」
⑧ 一年二組も負けないぞ
一年二組担任の地味田英雄(じみだ ひでお)先生も、みんなにわかりやすいように、ひらがなで席順に名簿を作りました。名簿をみんなに配りました。
『ねぼけ まなこ』『ねすぎ たまよ』『てつや あけた』『はらが たつお』
『よふかし するな』『おぼえ よいこ』『わすれ ぎみよ』『へいわ まもる』
『いかり ないよ』『いくさ むだよ』『おおもり たべた』『とくもり むりよ』
『せのび したぞう』『はなが たかお』『おおごえ あげた』『きが せくよ』
『まてば くるよ』『めが さめた』『おおきな ゆめこ』『ふけば とぶお』
『きすは あとね』『きもち かわる』『たびに でたこ』『おでこ はるよ』
『やるき くれた』『わるさ やめた』『やれば わかる』『たきに おちた』
『おおぞら とべた』『かんが あたる』『かぶが おちた』『いれば とれた』
『めだち たいこ』『いつか やるぞう』『ころぶ ものか』『おちが うけた』
一組に負けない個性的な子供たちでした。
注→こちらも架空の設定です。モデルはおりません。