ファンタスティックコント~高校の体育祭は華やかだ編~
① 世界新記録なら胴上げだ
四百メートル走。
ヨーイ、ドン。
一人反対方向に走りだしました。
一周回って、先にゴールイン。
世界新記録でした。
ほかの選手はレースを忘れて、ゴールの手前で、新記録を出した選手を胴上げしました。
② リレーの結果は
クラス対抗リレー。
一チームだけは先生のチームです。
ヨーイ、ドン。
先生のチームが圧勝しました。アンカーは体育の先生でした。
体育の先生は落ち込みました。
「俺の授業が、甘すぎるのかな」
③ 花を持たせる
先生と生徒で綱引きです。
簡単に先生チームが勝ちました。
先生が生徒に宣言しました。
「花を持たせてくれても、Aをあげないよ」
次の試合で、先生チームは負けました。
④ 非行生徒の指導
棒倒しは先生チームと生徒チームの戦いです。
生徒チームは、日頃から先生に、厳しく非行の指導を受けていました。
さあ勝負。
生徒チームが勝ちました。
生徒チームが万歳です。
「先生、棒倒しの指導をしてあげましょうか。俺たち、厳しいっすよ」
すかさず先生が言い返しました。
「まっぴら、ごめんだね」
⑤ 体育祭は自由参加
あまりにも生徒数が多いので、体育祭は自由参加になりました。
生徒は誰も参加しませんでした。
先生たちだけで、走りました。
体育祭の看板が『職員大会』に替わりました。
⑥ 校長の挨拶に文句
体育祭の開会にあたり、年取った校長先生から、ご挨拶がありました。
「私も君たちと同じ、この高校の出身なんだよ。百メートル走では一番をとったんだそ」
観客の中から、孫の応援に来ていたお爺さんが、大きな声で叫びました。
「嘘を言うなよ。あのときの一番はわしだ」
隣のお婆さんが、お爺さんをさえぎりました。
「あんた、近道をして、ずるしたじゃない。私が止めようとしたの覚えてないの?」
校長先生が、懐かしそうな顔をしました。
「ただいまのお二人は、高校の時からのお付き合いで結婚なさったのです。このときの競争については、写真判定をしました。証拠はこれです」
校長先生は卒業アルバムを出して、体育祭のページを掲げました。
校長先生らしき生徒がゴールする写真が掲載されていました。
なんと、横からパンチパーマの高校生が飛び込もうとしています。
その高校生のパンツを、一人の女子生徒が引っ張っていました。
校長先生が、一言つけ加えました。
「私は百メートル走では一番になった。でもね、『彼女』の競争では、このパンチパーマの野郎に負けたんだよ」
校長先生は急に悔しそうな顔をしました。
声が震えていました。
校長先生はお婆さんを見つめました。
「ゴールした後、君は『彼には私が必要なのよ』て言ったよな」
生徒と先生、全員が、わかるわかると頷きました。
⑦ 犬競争は無理かな
新しい種目ができました。
犬を連れて競争です。
ヨーイ・ドン。
犬だけがゴールインをしました。
後ろで、ご主人様はついて行けなくて、全員転んでいました。
犬はみんな自分が一番だと吠えました。
ワン、ワン、ワン。
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