糖尿病<>スタートアップ・技術(後編)
こんにちは、HIRAC FUNDのインターンのモシュケリです。*監修/編集はシニアアソシエイトの檜山。
前回の記事に引き続き、糖尿病とスタートアップに関するトピックにフォーカスしていきます。
前回は、糖尿病の現状とデジタル治療(DTx)の役割についてお伝えしました。今回は、実際に糖尿病治療において注目されている国内外のスタートアップを紹介していきます。
注目のスタートアップ
デジタル治療分野のスタートアップは、技術やサービスの提供形態、またはターゲットとする領域によっていくつかの主要なカテゴリーに分類されます。これらのカテゴリーは、医療機器やデバイスを中心に技術革新を図るもの、デジタルヘルスアプリケーションを通じて患者の治療をサポートするもの、バイオテクノロジーを駆使した新たな治療法を提供するもの、さらには教育やサポートサービスを通じて患者と医療従事者を結びつけるものなど、多岐にわたります。
特に糖尿病治療に焦点を当てたスタートアップでは、血糖値のモニタリングやインスリン投与の効率化、患者の行動変容を促すアプリケーション、さらにはAIを活用した合併症の早期診断システムなど、様々な技術が開発されています。これらの技術は、患者の自己管理をサポートし、治療の質を向上させるとともに、医療費の削減や医療提供者の負担軽減にも貢献しています。
ここから、各カテゴリーごとに今注目すべきスタートアップをご紹介します。
なお、これらの企業は当社が特定の銘柄への投資を推奨するものではなく、あくまで情報提供を目的としています。投資判断を行う際は、リスクやリターンを十分に理解し、慎重にご検討いただきますようお願いいたします。
それでは、まず「医療機器・デバイス」分野で注目されるスタートアップから見ていきましょう。
*会社概要・資金調達などのデータはスピーダ、Cruchbaseなどを参照し、2024/9/20時点でシード〜シリーズCに分類されていた糖尿病タグのある企業を監修者にて恣意的に選定し、作成しております。
カテゴリー
医療機器・デバイス
デジタルヘルス・アプリケーション
バイオテクノロジー
栄養・食品
教育・サポートサービス
医療機器・デバイス
会社名:株式会社Provigate
設立年月日:2015年3月
資金調達額:21億円(推定)*2024年1月時点
株主構成
豊田合成株式会社、株式会社Coral Capital、ANRI株式会社、スパークス・グループ株式会社、国立研究開発法人科学技術振興機構 etc
代表者(敬称略):関水 康伸
事業概要
東京大学発の医療系スタートアップ。
糖尿病のある方及び予備群に対し、グリコアルブミンによる週次平均血糖モニタリングと行動変容支援アプリを組み合わせたIoT血糖モニタリングサービス「GlucoReview®」の開発を進める。
低侵襲・低コスト・簡便にGA(週次平均血糖)を在宅測定できる本体・使い捨てカートリッジ・アプリを提供する事で、1〜3カ月の通院間隔中の在宅自己血糖管理を力強くサポートするサービスの提供を目指す。
2021年9月にスパークス・グループ、ANRI、Coral Capitalから9億1,000万円を調達し、GAセンサの量産化開発、臨床研究、製造販売承認などの準備に充てている。
同社は、東京大学の起業支援プログラムや学術成果を活用しており、東大本郷キャンパス内のアントレプレナープラザに入居しています。これにより、最先端の研究と技術を活用し、革新的な製品を開発することが可能に。
会社名:ライトタッチテクノロジー株式会社
設立年月日:2017年7月
資金調達額:5.4億円
シードAラウンド
株主構成
JMTCキャピタル合同会社 / MedVenture Partners株式会社 / 合同会社テックアクセルベンチャーズ / フューチャーベンチャーキャピタル株式会社 / グローブアドバイザーズベンチャーズ etc
代表者(敬称略):山川 考一
事業概要
先端レーザー技術を駆使し、世界初の採血が不要な(非侵襲型)血糖値センサーを開発。
糖尿病の治療には正確な血糖値を把握する必要がありますが、1日に何度も注射針を刺し血液を採取する必要があるため、正確かつ継続的な血糖値管理を行うことが難しく、治療に必要な情報が十分得られていないことが従来の課題。
持ち運びが可能なモバイル型デバイス「モバイル型血糖値センサー」、据え置き型血糖値センサー「カーボヘルスセンサー」の2つの製品を主に展開予定。
高速で発振する赤外線レーザーを用いることにより、わずか5秒でデータを取得可能。
得られたデータは、無線通信を使って瞬時にスマホや専用リーダーなどの端末に表示される。
2025年の商品化を目指し現在開発中。
会社名:ファルストマ株式会社
設立年月日:2023年10月
資金調達額:不明
株主構成
株式会社グランフーズ
代表者(敬称略):久保田 雅彦
事業概要
ウルトラファインバブル(UFB)水を用いたインスリン経口薬の実現。
インスリン製造方法の改良は行われてきたが、注射という投与方法自体は発明されて100年もの間変わっていないという課題に取り組む。
「Reducing the Pain and Burden on Patients」を理念に掲げ、注射薬による投与を経口によって行える製剤を開発し、糖尿病患者の苦痛・負担を大きく軽減することを第一目標に据える。
DDS創薬技術を応用展開したタンパク質医薬品・バイオ医薬品・抗体医薬品等の経口薬化を目指した事業も目指す。
会社名:Onalabs (スペイン)
設立年月日: 2016年12月
資金調達額:$7.7M
株主構成
Barca Innovation Hub、European Commission、EIT Health etc
代表者(敬称略):Elisabet del Valle, Xavier Munoz
事業概要
スペインのバルセロナに本社を構える医療系スタートアップ。
皮膚や汗を通して血糖値を遠隔で測定する機器を開発。
患者やその家族はいつでもどこでも測定することができ、COPD、HF、糖尿病などの慢性疾患を早期に発見・監視することが可能。
製品ラインナップとして以下の3つを揃えている。
Ona viral
動脈圧、酸素飽和度、心拍数、などの様々な健康パラメータを連続的にモニタリングする非侵襲的なデバイスで、医療従事者によるリアルタイムの監視を可能に。
OnaSport
汗の分析を通じて筋肉疲労、乳酸値、脱水、電解質損失、心拍数、発汗量を追跡することにより、スポーツパフォーマンスを監視するように設計されたデバイス。
OnaDM
糖尿病管理を目的として、汗を通じて血糖値を測る医療用バイオセンサー。
会社名: CeQur Simplicity (スイス)
設立年月日: 2008年
資金調達額:$271.6M
シリーズC
株主構成
代表者(敬称略):James Peterson
事業概要
食事時インスリンを必要とする糖尿病患者のためにデザインされた装着型インスリンパッチ。 注射を必要とせず、皮膚の下にある小さく柔軟なカニューレからインスリンを投与可能。
これにより、食事や補正用ボーラスの投与方法が変わり、毎日何度も注射する必要がなくなる。
パッチ使用を継続的にサポートするプログラムを実施。
また、同製品の自己負担額が高い場合、民間保険でカバーされていない場合を対象にCeQur Simplicity 節約カードも提供している。
会社名:DiaMonTech AG(ドイツ)
設立年月日: 2015年
資金調達額:$20.4M
株主構成
Moll Family, IBB Ventures, Samsung Ventures
代表者(敬称略):Thorsten Lubinski
事業概要
ドイツ・ベルリン発のスタートアップ。
中赤外レーザーを用いた針刺し不要の血糖測定機器「D-POCKET」を開発。
特許も取得済みで、痛みを伴わず、採血することなく、糖尿病患者の血糖値を測定・管理する。
直近ラウンド(2023年)ではMoll Familyがリードで$5.7Mを調達していたり、後援に浜松ホトニクス、Samsung Venturesがいるなど注目が集まる。
デジタルヘルス・アプリケーション
会社名:株式会社ザ・ファージ
設立年月日:2021年7月
資金調達額:4億4100万円
株主構成
株式会社メディヴァ / 未来創造キャピタル株式会社 / みずほキャピタル株式会社 / TOPPANホールディングス株式会社 / 株式会社明治 etc
創設者(敬称略):德永 翔平
事業概要
デジタルセラピューティクスを用いて、食後血糖値の波形解析によるスコアリングで血糖コントロールを支援するアプリケーションを提供する。
2型糖尿病患者を対象とした、AIによる血糖値自動予測機能を搭載した糖尿病治療用アプリ「glucose flight」を開発中。
個々の生体情報を解析し個別最適化された生活行動を提案することで、ユーザーの主体的な血糖管理を促進、また、医療従事者には、患者の生活リズムや食事スタイルに合わせた的確な栄養指導をサポート
直近の9月にはプレシリーズAラウンドも実施(金額は非公開)、株主でもあるTOPPANホールディングスとも戦略的事業提携を結ぶなど今後の活躍に注目が集まる。
会社名:株式会社Save Medical
設立年月日:2018年5月
資金調達額:8億円
株主構成
TIS株式会社 / Spiral Capital株式会社 / Bonds Investment Group株式会社 / 三菱UFJキャピタル株式会社 / 株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズetc
創設者(敬称略):淺野 正太郎
事業概要
デジタルテクノロジーを活用した治療用ソフトウェアを展開している。
デジタル治療機器の治験・薬事経験者によるアプリ設計開発ソリューション「DTx/SaMD Design Studio」の提供。
そのうちの一つに、患者の行動変容を促し、治療効果の発揮を目指す2型糖尿病患者向け医療機器アプリの開発。
治験を経験した国内DTx/SaMD企業は少ない中、活きたノウハウを蓄積して多くのパートナーシップ連携を行う。
BeatO(インド)
会社名:Health Arx Technologies Pvt. Ltd.(BeatO)
設立年月日:2015年
資金調達額:$47.4M
株主構成
創設者(敬称略):
事業概要
インド発の医療系スタートアップ。
糖尿病患者のグルコースレベルを追跡するための健康モニタリングアプリケーションを提供している。
インターネットに接続したモニタリング機器とアプリを提供し、患者は自宅でも外出先でもリアルタイムで血糖値を簡単に確認・管理することが可能になる。
アプリ開発だけでなく、AIを用いた糖尿病治療プログラム、専属のヘルスコーチなど幅広く事業を展開しており患者を包括的にサポートできる環境を備えている。
これまでに計7回の調達を行っており、 直近のシリーズBでは$38.6Mもの大型調達を実施。W Health Ventures、Orios Venture Partnersなどが筆頭で参加。
会社名:January AI(アメリカ)
設立年月日:2017年4月
資金調達額:$42.8M
株主構成:AME Cloud Ventures 、Felicis、HAND Capital、Marc Benioff、etc
創設者(敬称略):Michael Snyder, Noosheen Hashemi
事業概要
スタンフォード大学でゲノム研究を行っている博士が創業したアメリカ発スタートアップ。
持続血糖モニター(CGM)を使用せずに血糖値を予測するアプリ「January app」を発表。
このアプリでは、臨床検証された独自のモデル、トレーニングデータ、人口統計情報を活用する。ユーザーが食事をスキャンするだけで血糖値に関する洞察や主要栄養素、代わりの食事などのフィードバックを得ることが可能に。
直近ラウンドでは13Mを調達、株主構成はエンジェル投資家が多く、salesforceのCEOも参加している。
会社名:Endo Health, Inc.(アメリカ)
設立年月日:2024年
資金調達額:$1M
株主構成: Anne Wojcicki/Andressen Horowitz/Krew Capital
創設者(敬称略):Brian Yun, MD(CEO) / Chanwoo park(CTO) / Eleven Ryu
事業概要
アメリカ・シリコンバレー拠点のヘルスケアスタートアップ。
慢性疾患を抱える糖尿病患者やその予備軍に合わせた、AI主導型のパーソナライズド・デジタル・ヘルスケア・サービスを開発中。
持続血糖モニター(CGM:CGM:Continuous Glucose Monitor)を活用し、リアルタイムで血糖値と活動データを収集し、患者がより効果的に病状を管理できるよう支援する。
同社はゲーミフィケーション戦略を統合し、疾病管理をユーザーにとって身近で楽しいものに体感できるように取り組む。
a16zなどからプレシードで資金調達を行い、a16zが主催する12週間のアクセラレータプログラム「Speed run」にも参加。
プロダクトは今年のQ3以降にローンチ予定。
会社名:Apollon Inc(韓国/アメリカ)
設立年月日:2021年1月
資金調達額:$2.8M
株主構成: KB Investment / Future Science / Technology Holdings/ STIC ventures/ etc
創設者(敬称略):Aram Hong
事業概要
ソウルとボストンで設立されたヘルスケアスタートアップ。
最先端のラマン分光法を利用した、針を使わない持続的グルコースモニタリング(CGM)デバイスで糖尿病治療を行う。これにより患者は痛みや炎症に苦しまない治療が可能になる。
開発にはマサチューセッツ工科大学も提携しており、レーザー光による測定技術面で協力している。
デバイス自体はスマートウォッチのようにコンパクトな仕様となっており、米国・韓国ですでに30以上の特許を申請済み、今後5年でFDAの認可も目指している。
今年の4月には合計2回目となるシード投資で$1.8Mの資金調達を行なっており、来年初めにもシリーズAを予定している。
バイオテクノロジー
会社名:オリヅルセラピューティクス株式会社
設立年月日:2021年4月
資金調達額:95億円
株主構成:
JDRF T1D Fund, LLC. / 日本グロースキャピタル投資法人 / 株式会社三菱UFJ銀行 / SMBCベンチャーキャピタル株式会社 / 武田薬品工業株式会社 / 京都大学イノベーションキャピタル株式会社 / 日本ベンチャーキャピタル株式会社 / 三井住友信託銀行株式会社 / 三井住友ファイナンス&リース株式会社/株式会社メディパルホールディングス
創設者(敬称略):野中 健史
事業概要
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)と武田薬品工業によるiPS細胞共同研究「T-CiRAプログラム」の事業化を目的に発足した研究開発型企業。
同社は、iCM、iPIC、プラットフォームイノベーション事業の3つを主軸に、再生医療ソリューションを提供している。
iPIC事業では、1型糖尿病患者に対するiPS細胞由来の膵島細胞「iPIC」を用いた治療を進めており、血糖コントロールが困難な患者に新しい治療法を提供することを目指している。
iCM事業では心筋細胞の再生を通じて心不全治療に取り組み、プラットフォームイノベーション事業ではiPS細胞技術を活用し、再生医療製品の開発支援や共同研究を推進。
これら3つの事業を通じて、様々な疾患に対する治療法の実用化を目指しています。
会社名:リジェネフロ株式会社
設立年月日:2019年9月
資金調達額:1.8億円
株主構成:
株式会社ヤム・オーバーシーズ / 中信ベンチャーキャピタル株式会社 / 株式会社島津製作所 / 株式会社ヘルスケア・イノベーション / DM Capital Ltd.
創設者(敬称略):森中 紹文
事業概要
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の長船健二教授の研究成果を基に設立した、京都大学発のベンチャー企業。
国内の慢性腎臓病(CKD)患者を
糖尿病の治療を目的として、低抗原性iPS細胞を用いた膵β細胞の移植及び新規治療薬スクリーニング等を実施。
「腎疾患に対する様々なソリューションを研究開発し、腎疾患に苦しむ患者さんのQOLの改善により社会に貢献する」をミッションに掲げる。
シリーズAにて第三者割当増資により総額13億9,200万円の資金調達を実施済み。
会社名:株式会社バイオジップコード
設立年月日:2022年1月
資金調達額:1億円
株主構成:マーチャント・バンカーズ株式会社
創設者(敬称略):小島 史久
事業概要
糖尿病を完治させる治療薬を開発。
自社研究で糖尿病及び糖尿病の合併症は治療で完治(寛解)させることが可能だと判明し、論文での証明などで結果が認められている。
「糖尿病を完治させる治療薬」と「特定の細胞に薬を届ける技術(細胞標的化技術)」で、病気を対処療法でなく完治を目指す。
また、ペット用の糖尿病治療薬及びその合併症の治療薬の開発も行なっており、市場規模13億円が予測されるペット市場へも進出予定。
研究リソースシェアリングプラットフォームを提供する株式会社Co-LABO MAKERとも協業提携している。
栄養・食品
会社名:株式会社ミラクリンラボ
設立年月日:2021年12月
資金調達額:6100万円
株主構成:株式会社TMコンサルティング / 株式会社高山化成
創設者(敬称略):中村 元彦
事業概要
ミラクルフルーツの生産・加工・販売。 酸っぱいものが甘く感じられるミラクルフルーツの性質を利用したラムネ「あまなーれ」の製造・販売を行う。
レモン・グレープフルーツなどの柑橘類、トマト、お酢、ヨーグルト等も甘くなり、甘味を感じる効果は約30分〜1時間ほど。
ミラクリンは低カロリー甘味料としての活用や、過剰なエネルギー摂取により発症する生活習慣病などの疾病予防への利用が期待される。
ミラクルフルーツに関する研究を、近畿大学薬学部と共同で推進。
一型糖尿病患者向けに、情報ポータルサイト「ID GATE」も運営し糖尿病の認知活動にも貢献している。
教育・サポートサービス
会社名:Teatis Inc. (アメリカ)
設立年月日:2021年6月
資金調達額:3億円
株主構成:株式会社ジェネシア・ベンチャーズ、野口 卓也 / 石塚 亮
創設者(敬称略):高頭 博志
事業概要
AIと専門のケアチームで糖尿病患者の生活習慣を変えるプラットフォームを米国で提供。
糖尿病の専門資格をもつヘルスケアスペシャリスト、管理栄養士、商業運転ライセンス認定の専門資格を持つスペシャリストと専用にトレーニングされたAIにより24時間のチャットおよび電話での生活習慣サポートを行う。
直近ではトラックドライバーを中心にサービスを提供。
トラックドライバーは最も糖尿病罹患率が高い職種、また米国の労働人口のうち9%はロジスティック産業に従事している。
今後は他業種の労働者にもサービスを拡大し、2,000万人以上のターゲットにアプローチしていく予定。
並行して糖尿病予防の完全代替食もD2Cで展開し、エンジェルラウンドでバルクオム 代表取締役CEO 野口 卓也氏を筆頭にエンジェル投資家から4000万円を調達した。
直近のポストシードラウンドを完了し総額$1.4M調達した。
会社名:Fitterfly (インド)
設立年月日:2016年9月
資金調達額:$15.1M
株主構成:4point0 Health Ventures,Amazon Smbhav Venture Fund, Venture Catalysts, etc
創設者(敬称略):Arbinder Singal, Shailesh Gupta
事業概要
デジタル治療プログラムを提供するインド発のスタートアップ。医師、エンジニア、栄養士、フィットネスおよびストレス管理の専門家によって設立。
Fitterflyのプログラムは、科学的根拠に基づいた個別化されたデジタル治療を提供し、糖尿病、肥満、高血圧などの健康状態を管理することを目指す。
リアルタイムのCGMセンサーを使用して血糖値を監視し、50以上のラボテストを通じて健康状態を把握する。さらに、専門家による栄養、フィットネス、ストレスおよび睡眠管理の計画を提供し、患者が健康目標を達成するためのサポートを提供する。
同社のプログラムは、2型糖尿病患者のHbA1c値を平均1.2ポイント減少させる効果があり、90日間のプログラムに参加した109名の2型糖尿病患者のうち、85%がHbA1c値*の有意な減少を経験した。
*HbA1c値(ヘモグロビンエーワンシー):血中のヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合を表す数値で、糖尿病のリスクを判断する指標。HbA1c値が高いと、長期間にわたる高血糖の影響を示す可能性がある。
会社名:POPS Diabetes Care(アメリカ)
設立年月日:2013月19月
資金調達額:$6.5M
株主構成: Sunmeet Jolly, Revolution’s Rise of the Rest Seed Fund, TreeHouse Health, etc
創設者(敬称略):Curt Christensen, Erik Davis, Lonny Stormo
事業概要
アメリカ発スタートアップ。
患者が自ら糖尿病を管理できるプラットフォームを提供する。
具体的には、popsと呼ばれる装置をスマートフォンの裏に装着してbluetooth連携させる。
Popsを素早く押すと痛みを感じずに血液を採取し、血糖値を測定可能。結果はアプリで見れるようになる。
MinaというAIバーチャルコーチが24時間サポートし、患者が自分の健康状態を簡単に管理できるように。
FDAも認可済みで、Popsを利用した人は24ヶ月にわたって効果的なHbA1c値の減少を持続した。
会社名:DreaMed(イスラエル)
設立年月日:2014年
資金調達額:$13.3M
株主構成:
創設者(敬称略):Aviel Fogel, Dr. Revital Nimri, Eran Atlas, Ido Muller, Moshe Phillip, Shahar Miller
事業概要
CGM/SMBGとインスリンポンプのデータを用いた意思決定支援システムのFDA認可を取得した世界初で唯一の企業。
糖尿病患者の治療コースを管理するためのAIを利用したプラットフォームendo.digitalを提供する。
FDAからの認可もおりており、1型糖尿病と2型糖尿病の両方をサポートすることが認められた唯一のプラットフォームでもある。
AIの精度は専門医と同等レベルに達し、医療従事者の仕事負担も大幅に緩和された。
米国では、糖尿病と診断された6,000人に対して内分泌専門医は1人しかいない。その結果、専門家レベルの治療を受けられる患者はごく一部に限られているという課題を解決した。
合併症
会社名:AEYE Health(イスラエル)
設立年月日:2018年6月
資金調達額:$10M
株主構成:
創設者(敬称略):Danny Margalit, Zack Dvey-Aharon
事業概要
ニューヨーク発のベンチャー企業で、人工知能(AI)を基盤とする糖尿病性網膜症の自律型スクリーニング画像診断システム「AEYE-DS」を開発。既に510(k)申請経路でFDAの認可を受ける。
AEYE-DSは、デスクトップ型網膜カメラ「Topcon NW-400」のデジタル画像から、AIが早期段階で糖尿病性網膜症を検出するシステム。
糖尿病の合併症の一つに糖尿病性網膜症があり、米国では3,500万人以上、世界では4億2,200万人以上の糖尿病患者が罹患するリスクがあるとされている。
参照:AEYE Healthの「AEYE-DS」、510(k)申請経路でFDA承認を取得現在はポータブル網膜カメラの利用も可能にするべく研究が進められており、この適応拡大が承認されれば、AEYE-DSはポータブル網膜カメラの利用が可能な唯一かつ初の自律型診断システムとなる。
会社名:株式会社セカンドハート
設立年月日:2019年2月
資金調達額:2300万円
株主構成:藤井 宣之 / 金子 英明 / 池上 康治 / 松野 敬子
創設者(敬称略):石田 幸広
事業概要
糖尿病性足潰瘍による足の切断を予防する糖尿病フットチェックアプリ「Steplife」を開発。
「Steplife」は、糖尿病患者がスマートフォンのカメラを使用して足の状態を定期的にチェックし、専門機関と患者の連携を強化することで、足病の早期発見や患者の自己管理能力の向上、現場の労力削減を目指す。
足病治療のパイオニアとして知られる「医療法人社団足ノ会 足と歩行の診療所 蒲田」にもサービスが導入。
糖尿病による足の合併症から患者を守り、究極的には足切断の件数をゼロにすることを目標とします。
2023年12月22日に「石田プロダクツ合同会社」から組織名を変更し、「足は第二の心臓」という言葉にちなんで「株式会社セカンドハート」に決定。
まとめ
以上、糖尿病治療におけるスタートアップ企業の取り組みについてご紹介しました。
それぞれの企業が目指すのは、患者の日常生活を少しでも楽にし、より良い未来を提供することです。医療機器やアプリケーション、バイオテクノロジーなど、多岐にわたる分野での革新が、糖尿病治療の在り方を大きく変える可能性を秘めています。
今後も、起業されたばかりの方や投資家、忙しいビジネスパーソンの皆さまに少しでもお役に立つような記事や、海外の先行事例の紹介・業界分析などを発信していきます。
医療系で起業をされている方、投資をされている事業会社やVCのベンチャー資金調達にご興味ある読者がいらっしゃいましたら、是非HIRAC FUNDメンバーや檜山へお気軽にご連絡ください。
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