もう一度読みたい本‐その4

早くもその4となりました。
こうして振り返ると沢山、本を読んでいるわけではないですが
思い入れのある本がそれなりにあるので
本を読むのが好きなんだなぁと実感しています。

子供のころから本を読みなさいだとか
勉強しなさいだとか言われることがありませんでした。
だから、強制されることなく好きな時に好きな本を読めていたのかもしれません。

今回は20代後半に読んだ本です。
大学卒業後、読んでいた本と言えば小説です。
仕事の休みの日はDVDを借りるか、図書館に行くかというインドアライフを
充実させていましたが
その中でもすごく印象に残っているのが
『上弦の月を喰べる獅子』です。陰陽師シリーズで有名な夢枕獏さんの作品です。

長いお話です。一度読みだすとなんだかもやもやと螺旋階段を降りていくような、昇っていくような、いつの間にか宇宙に出てしまうようななんとも言えない気分になってしまいます。
なんだかわかりませんが念仏のようなお経のようなそんな世界の中を漂っていくような不思議な感じになりました。
こんな感じになった本は初めてです。目が回る本です。

もう一度読みたいですが、読むのに勇気がいりそうな本です。
深く深く考えてしまいます。
でも、読後が何とも言えない爽快感。
マラソンを走った後とかってきっとこんな感じなのかもしれません。

この本を読んだ当時、自分のブログに映画とか本の感想を書いていたのですが、
先日、どんな感想だったのかと気になってブログを探したのですが
なぜかこの本の感想は書いていないのです。
きっと書けなかったのではないでしょう。
その当時は圧倒的なものを感じたんだと思います。
その時、自分が抱えていたものとか子供の頃から考えていたこととか
とにもかくにも
自分のベースになる根本のものに問いかけられたような
とにかくわたしのなかでは言葉にできなかったのでしょう。
読むのに体力と気力のいる本だと思います。

自分の精神状態って読書するときには大事な気がします。
今、読んだら、どんな世界が広がるのかとても興味があります。
一度、ストンと自分の体に落ちて身になったであろうお話を再度、読んでみる。
同じ衝撃があるのかそれとも、あれ?ここってこんなに狭かった?的な、小学校のグラウンドに大人になって佇む時のような懐かしさがあるのか、別なことを思うのか。
そこにわたしはいるのか。
この本を読んだときに歩いた螺旋階段にもう一度行けるのか。

不思議とこの本のことを時々、思い出します。

わたしは月ではなく本を喰らう何かなのでしょう。

こんな風にお話の中に溺れてみるのも悪くはないですね。

月と共に…

あなたにも忘れられない本がありますように。

羊でした。

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羊
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