映画所感・絵"華麗なるギャツビー"
ひとつに対して狂ってしまった人間は、側からは眩しく、美しくみえることも間々ある。
誰もがギャツビーみたいに真っ直ぐ一つだけを追えるわけじゃないし、その様を醜悪だと思う人間も当然いる。
必死になって何かを追いかける人間は、たしかに泥臭くみえるときもある。女のケツを追いかけまわす男なんて、はたから見ればどうしようもない。
でもそれが、どうしようもなく羨ましく見えてしまうことがある。その情熱が、その無垢さが、その愚かさが。どれも我に返ってしまっては、現実を諦めてしまっては、もてない"夢"だ。人生を諦めてしまった人間ほど、ギャツビーが最も尊いものに思える。
失われた想い出は永遠だ。些細な不快感は掌にすくった砂のように隙間から零れ落ち、思い返すほどに記憶はより美しく、輝く。ギャツビーという人間はこれから先ずっとニックの中で、ただ美しく再生され続ける。豪華なパーティーも高価な装飾品も一夜の夢だというのに、その人への想いは消えない。人間の執着は恐ろしいと思う。
デイジーと初めて出会う場面、パーティーのシーン、楽しい時間のなにもかもが美しいからこそ、最後まですべてが美しくあるこの結末なのだと感じた。
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