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はにわ展@東京国立博物館(長いです)

 チケットだけは前もって買ってあったはにわ展、ついに行けた。


『特別展 はにわ』

 そんなには混んでないだろう、平日だし、と思ったけど甘かった。

超有名な《踊る人々》がお出迎え。

 展示室内は先日行ったモネ展とあまり変わらないほどの盛況ぶり。11月だと言うのに、人混みの発する熱気で汗をかいてしまった。
 単なる人体の熱としての熱だけじゃなく、全国津々浦々から大集結したはにわマニアたちの熱意の暑さも加わっていたと思う。
 私も人のことは言えないのかもしれないけれど、時々ふとガラスケースの中の展示物から視線をそらしてみると、畏敬の眼差しで言葉も無くはにわに見入っている熱いはにわファンの表情が間近に見られて味わい深かった。

はにわコレクション2024

 博物館の展示と言えば古くさくてほこり臭い、なんていうのは昔の話なんだなー、としみじみ。

はにコレランウェイ2024

 オレンジ系の埴輪が映えるように、補色のブルーの照明が効果的に使われていた。
 綺麗だけど、妙に未来的な雰囲気になってしまって、埴輪の目からビームでも出そうに見えた。

スマホで自撮りする女子の埴輪かと思ったけど違った。
裳を着けた女性。当時の最先端ファッションとのこと
かなりの踊り手
なんかショックなことあったんでしょうね
このままでゆるキャラとして通用するあざとさ
鷹匠。英語のキャプションはHaniwa Falconer。ポーズも帽子も手甲もかっこいい
異色の作風。これは博物館より美術館行きでもいいかも。

挂甲の武人5人衆

 今回の目玉である《挂甲の武人》×5体の展示は、そういうのは私は詳しくないのだけど、男性アイドルの見せ方を参考にしてるんだろうかと思わされる盛り上げ方だった。

あなたの推し武人は誰? と言いたげな。私は黄色の彼かな…。
奈良・天理大学付属天理参考館の挂甲の武人。
シアトル美術館から60数年ぶりに里帰りした挂甲の武人。
トーハク所蔵の挂甲の武人。5人兄弟のうちで唯一の国宝。
群馬・相川考古館の挂甲の武人。
私の推しメン。寡黙そう。千葉・国立歴史民俗博物館蔵。
椅子の埴輪。座布団無いとおしりが死にそう。

復元カラー埴輪

 図録を買わなかったので詳しいことは不明。ほんとにこんなふうに白かったんだろうか?

やっぱり図録買うべきだろうか?

ヤヌスの埴輪

 びっくりしたのが、前と後ろに顔がついている埴輪。まるでローマ神話のヤヌス。
 キャプションに「埴輪は実在するものしか作られない。前後に顔がある埴輪はこの一作きり」と書いてあった。謎が深い。

ドールハウス埴輪

 家形の埴輪はたくさんあったけど、この埴輪は中にベッドまで造ってあるのが珍しいんだそう。

シルバニアっぽい。

土下座埴輪

 本来できるはずなのだ…! 本当にすまないという気持ちで…胸がいっぱいなら…!
 何時代であれ土下座ができる…!

 と、いうカイジネタもそろそろ古くて通用しないのかもしれないけども、連想してしまったので一応書いときます。

それがたとえ、展示ケースの中であろうとも…!

見返り鹿埴輪

「かわいい!」「なんでこれ後ろ向いてんの?」と、女の子ふたり連れに大人気だった見返り鹿シリーズ。警戒心の強い鹿は後ろを向いて周囲を警戒するしぐさをよくするのだそう(キャプションに書いてあった)。

動物シリーズは和む。たべっこどうぶつみたい。
鵜飼いをさせられてる鵜の埴輪。そんな昔からあったんだ…。
 
 

 まだまだ紹介し足りないけれど、キーボードを打つ手がつってきたのでこのへんで。
 最後を飾っていた埴輪は群馬で行われた人気投票《HANI-1(はにわん)グランプリ》で、それまで無名だったのが堂々の1位に躍り出たと言う《笑う男子》。

首位に輝いた今のご心境は?

図録

 図録は買わなかったと上に書いたけれど、実は買った。
 でも買ったのは、トーハクではなく科博の図録。

科博はショップだけの利用もできるのです。

 見てもいないのに、科博で開催中の『特別展 鳥』の図録だけ買って来た(2400円)。剥製を見るだけのために特別展料金2100円は高いかなと思うものの、展示内容には興味があったので。
 帰りの電車でさっそく読み始めたところ、マニアックな文字情報がたっぷり。
 私は読みでのある図録が好きなので、イケメン埴輪の写真集っぽい造りだった『はにわ展』の図録(3300円)よりもこっちを優先して正解だった。

“本種はネズミの尿が反射する紫外線を検知してネズミの通り道を見つけ、効果的に狩りをする。(チョウゲンボウ)”p.110
“ヒナは肩口(翼角)に羽毛がなく、黄色い皮膚を出して1羽しかいないヒナが3羽いるように見せかけて仮親をだまし、餌を多く運ばせるように進化したことが近年の研究からわかった。(ジュウイチ)”p.61

『特別展 鳥~ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統~ 図録』(日本経済新聞社、BSテレビ東京)より抜粋

『BIRDER』が好きな人なら買って損無し。