見出し画像

藤井青銅「トークの教室」より ブログを書くときに意識したい「伝わる工夫」

「自分ではちゃんと説明しているつもりだったのに、伝わらなかった」という経験はありませんか?

実際、私たちは自分が知っていることを当然のように省略してしまいがちです。しかし、読者はその背景を知らないため、途中で混乱したり、話についていけなくなってしまうことがあります。

ここでは、藤井青銅さんの著書「トークの教室」で紹介されている会話の一場面を引用しつつ、どうすれば「相手に伝わる文章」を書けるかを考えてみましょう。


先に言わなきゃいけないんですね

引用するのは、藤井青銅さんと伊集院光さんが交わした「歯医者に行った時の話」です。

話し手(伊集院さん)は、「歯が痛くて、歯医者に行ってきたんですが……」と切り出しますが、聞き手(藤井さん)が次々に細かな質問を投げかけるため、なかなか本題に進めません。

伊「その歯医者の待合室で……」
藤「ちょっと待って。それはキミんちの近くの歯医者? それとも都心のクリニック?」
伊「近所です。で、その待合室で……」
藤「ちょっと待って。そこ流行ってるとこ?待合室に他の患者はいたの?」
伊「いましたね。で、しばらく待たされて……」
藤「ちょっと待って。待合室にいる他の患者って子供? 老人?」
伊「子供がいて、バタバタとうるさかったんです。こっちは歯が痛いのに。で、ようやく先生に診てもらうと……」
藤「ちょっと待って、その先生はおじさん?女医?」
彼は面白い話を早く進めたいのに、私は何度も彼の話の腰を折る。が、この時彼は、ハタと言葉を止めた。
伊「あっ……」
藤「どうしたの?」

トークの教室 藤井青銅

何度も話の腰を折られた伊集院さんは、ふと気づきます。

伊「さっきから藤井さんが聞いてること、俺が先に言わなきゃいけないんですね」

トークの教室 藤井青銅

これこそ「話し手の頭の中では当たり前だけど、聞き手には伝わっていない」代表的な例です。

話し手は歯医者が近所か都心か、待合室の様子などを詳しく説明しないまま話を進めようとしていました。しかし聞き手には、その背景がまったく見えていないため、一から質問しなくてはならなかったのです。

藤井さんも「一から十まで全部説明しろ」というわけではないと述べています。必要な情報をあらかじめ伝えておくことで、スムーズに話が展開できるのです。

ブログでも同じことが起きる

このエピソードは、会話だけでなくブログにも当てはまります。たとえば、旅行記を書くときに「○○に行って楽しかった!」だけでは、読者からすると「実際どこに行ったの?」「何をしたの?」と疑問が残ります。

しかし、だからといって一から十まで事細かに説明すると、今度は文章が長くなりすぎて読みにくくなってしまうでしょう。

大切なのは「読者が知りたい背景を、あらかじめ押さえておく」ことです。エピソードでいうと、「歯医者が家の近くだった」「待合室に子供がいて騒がしかった」といった情報が先にあれば、本題に入りやすくなります。

ブログでも「どこへ行ったのか」「何を目的にしたのか」など、最低限の導入を最初に示してあげると、読者はスムーズに読み進められます。

必要な情報を絞って描写する

「相手に伝わる文章」にするためには、情報の取捨選択が欠かせません。

たとえば、「カフェでコーヒーを飲みました」とだけ書くよりも、「窓際の席で温かいカフェラテを飲みながら、雨音を聞いていました」と描写を加えると、その場の雰囲気が伝わりますよね。

ただし、あれもこれも描きすぎると、かえって読みにくくなってしまいます。

そこで「何を伝えたいのか」「どの情報が本当に必要なのか」を考えて取捨選択し、読者が場面をイメージできる最低限の説明に留めることがポイントです

まとめ

ブログを書くときは、「自分の頭の中では見えていること」を、どのように読者へ橋渡しするかを意識することが重要です。自分では見慣れている風景や知っている知識も、読者にとっては全く知らないケースが多いのだと心得ましょう。

  • 必要な背景はあらかじめ示す

  • 細部を描写しつつ、情報を詰め込みすぎない

  • 何を伝えたいかを明確にする

この小さな工夫だけでも、ブログはぐっと読みやすくなり、読者にとって魅力的な文章になります。

次にブログを書くときは、伊集院さんが「先に言わなきゃいけないんですね」と気づいたあの瞬間を思い出しながら、読者にとっての「見えていない部分」をほんの少し意識してみてください。

きっと、ブログがさらに伝わりやすくなるはずです。


いいなと思ったら応援しよう!

ひつじ@FIRE目標
いただいたチップは寄付に使わせていただきます。

この記事が参加している募集