対数グラフでチャート分析 バブルの兆候を見極める
投資家なら誰もが気にする「バブル」。市場が急激に上昇する局面は、投資判断を見直す大切な転換点になることがあります。
今回は、NASDAQ100指数に連動するETFであるQQQを例に、対数グラフを使ってバブルの判定が行えるのかどうかを考えてみます。
対数グラフの解説は省略しますので、知りたい方は、「対数グラフが投資の長期分析で重要な理由」をご覧ください。
NASDAQのチャートを対数グラフで確認する
QQQは、ハイテク企業を中心とするNASDAQ100指数に連動し、過去20年以上にわたって成長を遂げています。
対数グラフで見ると、緩やかでありながらもしっかりとした右肩上がりのチャートが確認でき、年平均成長率が概ね一定していることが分かります。
では、コロナショックとその後の上昇を詳しく見てみましょう。
コロナショックからの急回復とバブル的上昇
2020年に世界がコロナショックに見舞われた後、金融緩和策が大量の資金を市場に注ぎ込む中、QQQは従来の価格水準から大きく逸脱して上昇しました。
対数グラフ上でも、急激な変化がはっきりと目に付き、「ここは少し過熱しているのでは?」と感じさせる場面もありました。こうした現象は、いわゆるバブルの兆候と捉えることもできるでしょう。
その後、2022年には世界的なインフレ懸念や金融引き締め策の影響で、QQQは一時的に下落し、対数グラフにも調整局面が現れました。
急上昇期と調整局面という市場の動向を、対数グラフがしっかりと映し出してくれています。
現在はバブルなのか?
2025年現在、QQQは過去の激しい上昇局面に比べ、対数グラフ上で比較的穏やかな上昇トレンドをたどっています。今では「やや上昇しているかな」という程度に収まっています。正直なところ、この状態を見ると、バブル状態と言うほどの過熱感は感じにくいです。
もちろんチャートだけに頼るのはリスクが伴います。EPS(1株あたり利益)やPER(株価収益率)といったファンダメンタル指標も加味することが必要です。もしこれらの指標が堅実な伸びを示していれば、株価が上昇していても、バブルと呼ぶには根拠が薄くなります。
また、同期間の他の指数やETFと比較することで、QQQ固有の現象なのか、市場全体の流れなのかを見極めることができます。
まとめ
対数グラフは、短期的な価格変動に左右されることなく、長期的なトレンドをしっかりと把握できる強力なツールです。QQQの事例では、コロナショック後の急激な上昇が一時的な過熱感を示した一方、調整を経て現在は穏やかな上昇トレンドへと戻っているのが分かりました。
チャート分析に加えて、EPSやPERなどのファンダメンタル指標、さらには他市場との比較も取り入れることで、より総合的な判断が可能となります。
私もこうした多角的な視点を大切にしながら、投資判断をするよう心がけています。この記事が、皆さんの投資活動の参考になれば幸いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
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