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「図書券とボク」 タケウチユウキ

ある日を境に、オジさんがくれるお年玉が全て図書券になった。
日本銀行券でなければ、おもちゃを買うことも、
駄菓子を買うこともできない。図書券は本しか買えない。
漫画や雑誌が買えるって? 違う、そんなんじゃない。
ボクの街にはお釣りを出してくれない本屋があったんだ。

キン肉マンの単行本が360円だったから、
500円の図書券を使うと140円損をするんだ。
2冊買っても、220円は自腹だ。
お釣りを出してくれる本屋も確かにあった。
でも領収書のような「お手製のおつり券」みたいなもので、
その本屋でしか使えないんだ。

小学生だったボクにとって自分の意思で自由に使えない図書券は
厄介な存在だった。どうやって使い切ったのか記憶に残ってもいない。
大人になった今でも本屋で「図書カード」のポスターを見るたびに、
あの頃のボクが嫌な気分で現れる。

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