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人生にスパイスを与える、映画の名言#001 ここ(心)が空っぽなら、ここ(頭)に価値は無い

“If This Is Empty, This Doesn't Matter.”
ここ(心)が空っぽなら、ここ(頭)に価値は無い

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 一流のスポーツ・エージェントだったジェリー・マクガイア(トム・クルーズ)は、利益優先の会社のやり方に疑問を持ち、提言書を提出するもクビに。だが彼に付いてきたのは唯一彼に共感し、彼の独立を支援した会計係のドロシー(レニー・ゼルウィガー)と、落ち目のフットボール選手のロッド
(キューバ・グッディング・Jr)だけだった・・・。


 劇中、主人公が尊敬する故人となったエージェントの言葉で登場するのが、このセリフ。「ここ(心)が空っぽなら、ここ(頭)に価値は無い」。
シンプルだけど見る人の心にグサッと届く、厳しいけれど優しい言葉。
子持ちのドロシーと出会い、結ばれたジェリーだったが、日々仕事に忙殺され「なぜ私と結婚したの?」と、彼女から問われる始末。
 どんな仕事や恋愛、結婚であれ、何よりも大事なのは「心」で接すること。それがないと、人生は味気のないパスタのようになってしまう。人への思いやりや、温かさがあってこそ、自分の人生は輝くものになるはず。

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 このセリフ以外にも、名言や名シーンのオンパレード(例えば、ロッドがジェリーに電話で叫ぶ「Show me the money!」(金を見せろ!)は、その後多くの映画やテレビ番組で使われた、90年代屈指の名台詞)。
元々音楽ライター出身のキャメロン・クロウだけあって、サントラの選曲も抜群の本作。
 スポーツ映画を“エージェント”という裏方から描いた作品として、90年代のみならず、21世紀の今でも通じる傑作ドラマ。

 初めて本作を見たのは中学生の時。まだ13歳くらいだったけど、
主人公と同年代(劇中で35歳の誕生日を迎える)になって見直すと、
とにかくストーリーが心にグサグサ刺さる。
 ”大人になる”とは、時には嫌なことも受け入れなきゃいけない。時間に追われる毎日の中、面倒なことに巻き込まれることもある。後悔することも多いはず。だけど、その中で自分らしさを確立するのが、人生の面白さ。

 周囲からは完璧で幸せに見える主人公の脆さも魅力的。
加えてブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)が歌う主題歌(と言っても、本作用に書かれた曲ではない)「Secret Garden」は名曲。
 年を重ねる度に見直すと、この映画で描かれる“現実の厳しさへの対処法"と”自分を包んでくれる愛情”に対して、より理解が深まった気がする。
 仕事や人生でつまづいたり、失敗した時、悲しさや寂しさを感じてる時、
ちょっとした“前向きな気持ち“をもらえる作品かと。


ーザ・エージェント(1996)
監脚:キャメロン・クロウ
出演:トム・クルーズ、レニー・ゼルウィガー
キューバ・グッディング・Jr


この記事を書いた人
大石盛寛(字幕翻訳家/通訳)
通称"日本字幕翻訳界のマッド・サイエンティスト"。
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