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優等生と劣等生の決定的な違い・・日本経済復活への分析
世界にも例を見ない、30年もの長きにわたる日本経済の低迷ですが、必ず原因があるはずです。私は今まで見聞きしてきたことから、また勉強してきたことから、ぼんやりながらそのメカニズムに仮説を持っています。
現象面はデータで可視化し、さらにその現象を生じさせているものが何なのか?世間では「財務真理教」などと揶揄されていますが、もう少し、フォーマルに、スマートに、ドライに、できれば科学的に説明できないのか?
そんな気持ちが強まり、しばらく記事を書いて行きたいと思っています。実は私、ついつい文章が長くなってしまう傾向があるのですが、コンパクトにまとめながら連載形式で書いて行こうと思っています。
実は今回の記事、一部以前の記事と重複する部分も含んでいます。あらかじめ、ご了承ください。
21世紀以降の日本と経済優等生国の経済成長
まずは、日本人なら誰でも一度は見たことのある、憂鬱になるようなチャートから見てゆきます。
下のチャートは、経済が力強く成長している3国「米国」「カナダ」「オーストラリア」と日本の経済成長を比較したものです。このチャートに限らず、以降、この3国と日本を徹底比較してゆきます。
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日本経済がほぼ横ばいであるのに対し、米国・カナダは2.5倍強、オーストラリアに至っては3.7倍ものGDP成長です。米国・カナダのGDP推移が非常に似通っているのは、2か国相互の経済影響が極めて強いためと思われます。
オーストラリアの成長が突出しているのが気になりますね。調べてみました。以下が背景のようです。
(1) 鉄鉱石や石炭、天然ガスなどの鉱物資源が豊富で、成長著しい中国・インドへの輸出が経済成長を牽引している
(2) 移民を積極的に受け入れ、人口増加は国内需要を増やし、経済成長を支えている
(3) 教育(留学生の受け入れ)や観光、金融サービスなどの分野も成長
(4) マクロ経済政策: 金融政策と財政政策が比較的安定しており、外的ショックにも柔軟に対応できる経済運営
(5) 中央銀行の働き: オーストラリア準備銀行(RBA)はインフレ率や経済成長率を安定的に保つための政策を効果的に実施
(1)~(3)はオーストラリア特有の強みと考えられます。しかしながら、(4)(5)の部分「財政政策と中央銀行の役割(金融政策)」については日本としても参考にできるはずで、この辺りに注目してゆきたいと思っています。
対GDP「政府収入(税収)」比較
次に「政府収入・支出・収支(対 GDP %)」のチャートを4か国について掲載します。
チャートには「政府収入・支出・収支」という3つの情報が盛り込まれていますが、今回の記事では「政府収入(税収)(対GDP)」に注目します。
まずは、米国です。
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次にカナダです。
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次にオーストラリアです。
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今回の記事では「政府収入(青い折れ線)」のみに注目してください。政府収入とは中央政府と地方政府の税収合計です。
3か国ともに政府収入(対GDP比)は、概ね横ばいですね。米国は概ね30%、カナダは概ね40%、オーストラリアは概ね35%程度です。
また3か国ともに2009年~2012年ころ値が減少しているのが分かります。リーマンショックによる景気減速のため、減税が行われたためです。
その他ITバブル崩壊やイラク戦争の影響で上下したものと考えられますが、3か国いずれも、政府収入(対GDP比)に、上昇や下降トレンドが見られないことが確認できます。
最後に日本のチャートです。
明らかに他の3国と違いますね。2014年あたりから、政府収入(対GDP比)に、はっきりとした上昇トレンドが見られます。
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2014年と言えば4月から、消費税が5%⇒8%とアップされました。また2019年10月にも8%⇒10%とアップされています。
よく言われるように、消費税率アップと同時に法人税が引き下げられています。私はこのチャートを作るまでは、「消費税率アップ」「法人税が引き下げ」が相殺し合って、トータルでは、上りも下がりもしていないものと思っていましたが、お人よし過ぎましたね。
補足:
日本の政府収入は、「国税収入+地方税収入(都府県、市町村)+社会保険料」です。
日本の経済成長阻害要因(その1)
日本の経済成長を阻害している犯人が1人見つかりました。「経済成長を追い越す増税」です。これによって経済成長が抑え込まれたものと考えられます。
しかも何ら制限を設けず、増税を続けていけば、いずれ政府収入がGDP比で100%になってしまいます。これって、今風に言えば「持続可能(サステナブル)」ではないですよね(笑)!
補足:
◇ イラストはDALL-E(chat-GPT)を利用し作成しています。