2019年7月19日、アメリカ合衆国カリフォルニア州アラメダ郡のバークレー市議会で、全会一致のもと可決した条令。
「性差別の無い社会をつくる」ことを目的としているとするが、有体にいえば言葉狩りの条例で、公的に使われている40近くの英語表現を「ジェンダーニュートラル」な新語に変更するというもの。
報道によると、変更された単語は以下のもの。
女性もいるのだから「~マン」はおかしい、というのでマンを取ったりパースンにするのはまあ分からないでもない。しかしそれなら言い換え語のなかにHumanが散見されるのはそれこそおかしいはずである。humanには偶然manが入っているわけではなく「地上の人間」という意味で、まさに「man=人間」という、他で狩られているのと同種の成り立ちの言葉なのだから。
ましてPregnant woman→Pregnant employeeは、男性の妊娠者などそもそもいない。woman以外の誰がpregnantになるというのか。
Fraternal(友愛の)が変更させられるのは、「兄弟の」という意味もあるからだと思われる。が、Fraternity(男子学生の社交クラブ)とその女性版であるSororityの言い換え語に「ギリシア式」が入るのは、ギリシア人は男女に排他的だという別の差別的用語になっていないか?
またMasterが禁句なのは「主人」「家長」「主君」といった男性色の強い意味があるためだという(では女王陛下がおられるイギリスではmasterは良いのだろうか?)。
そもそもMasterやheirは、言葉のなりたちとして男性を表しているものではない。単にかつての英語圏ではそれらを男性がやることが多かったというだけのことである。日本のゲームなどでは逆に、プレイヤーの男女いずれにも対応できるようにと「マスター」が主人公の二人称とされがちであり、日米で「平等化」が逆の方向に作用しているのは興味深い。
参考リンク・資料:
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